喫茶店の内装|坪単価の相場と人気5スタイルの選び方
「理想の喫茶店をつくりたいけれど、内装をどう決めればいいのか分からない」「そもそも費用がいくらかかるのか見当がつかない」と悩んでいませんか。
喫茶店の内装は、コンセプトに合ったスタイル選び・予算配分・法規制への対応という3点を押さえることで、大きな失敗を避けられます。逆にこの順番を飛ばして見た目から決めると、追加工事や許可の取り直しが発生しがちです。
本記事では、純喫茶や大正ロマンをはじめとする人気5スタイルの特徴、坪単価と坪数別の費用相場、レイアウトや照明の設計ポイント、飲食店営業許可や内装制限といった法規制、工事の流れ、そして業者の選び方までをまとめて解説します。
目次
喫茶店の内装が売上を左右する3つの理由

内装は、なぜ喫茶店の経営に影響するのでしょうか。滞在時間・業態の違い・SNS拡散という3つの観点から、その理由を見ていきます。
喫茶店の内装は装飾ではなく、客単価・滞在時間・集客力を同時に動かす経営投資です。ドリンク中心で客単価が上がりにくい業態だからこそ、空間の質がそのまま収益性に跳ね返ります。
滞在時間と追加注文に直結するため
喫茶店の内装は、お客様の滞在時間を通じて売上に影響します。座り心地の良い椅子、適度な席間隔、落ち着いた照度がそろった空間では、お客様が自然と長く過ごし、コーヒーのおかわりやスイーツの追加注文につながりやすくなるでしょう。
反対に、椅子が硬い、隣席の会話が丸聞こえ、照明が明るすぎるといった空間では、一杯飲んだだけで退店されてしまいます。椅子の座面高・テーブルの高さ・照明の色温度といった細部の積み重ねが、結果として客単価を決めていると考えてください。
「喫茶店」と「カフェ」で最適解が違うため
同じ飲食業でも、「喫茶店」と「カフェ」ではお客様が期待する空間が異なります。喫茶店を検索するお客様は、落ち着いて長居できる懐かしさのある空間を想像しがちです。一方でカフェには、明るく回転の速い軽やかな空間がイメージされます。
| 比較項目 | 喫茶店 | カフェ |
|---|---|---|
| 想定される滞在時間 | 60分以上と長め | 30〜60分程度 |
| 照明の方向性 | 電球色で低照度 | 白色寄りで高照度 |
| 主な内装素材 | 濃色の木・ベロア・真鍮 | 白壁・淡色の木・アイアン |
| 座席の考え方 | ソファ席・ボックス席中心 | スツール・可動席中心 |
なお、屋号に「純喫茶」を掲げる場合は注意が必要です。
純喫茶はもともと、店内調理の料理やアルコールを出さず、コーヒーそのものを味わう業態を指していました。名乗ること自体に法的制限はありませんが、当時の作法に沿った空間とメニュー構成にそろえるほうが、お客様の期待とのずれが起きません。
SNSでの拡散が広告費の代わりになるため
近年の純喫茶ブームを支えているのは、写真映えする空間です。ステンドグラス、色ガラスのランプ、赤いベロアのソファといった要素は、来店したお客様が思わず撮影したくなるモチーフになります。
投稿が拡散されれば、広告費をかけずに新規のお客様を呼び込む導線ができあがるでしょう。設計段階で「撮影ポイントを店内に1〜2か所つくる」という視点を持っておくと、開業後の集客が楽になります。
喫茶店の内装で人気の5スタイル

レトロ系は「どの年代を再現するか」で内装の文法が変わります。まず全体像を押さえておきましょう。
- 純喫茶・昭和レトロ:濃色の木とベロアで重厚に
- 大正ロマン:和洋折衷とダークトーンで華やかに
- 昭和モダン:曲線と色ガラスでクラシックに
- ナチュラル:明るい木目と白壁で軽やかに
- インダストリアル:無骨な素材で個性を立てる
| スタイル | 再現する年代 | 基調となる素材・色 |
|---|---|---|
| 純喫茶・昭和レトロ | 1950〜1970年代 | ダークブラウンの木・ベロア・深い赤 |
| 大正ロマン | 1910〜1920年代 | あめ色の木・伝統色のファブリック・型板ガラス |
| 昭和モダン | 1920〜1940年代 | 和風建築+西洋家具・アール調の曲線 |
| ナチュラル | 年代を限定しない | オーク・パイン材・白壁・アースカラー |
| インダストリアル | 年代を限定しない | コンクリート・アイアン・古材 |
純喫茶・昭和レトロ|濃色の木とベロア
もっとも「喫茶店らしい」と受け取られやすいのが、昭和中期の純喫茶を再現したスタイルです。ダークブラウンの木製建具、ワインレッドのベロア調ソファ、真鍮の金物、格子状の間仕切りといった要素を組み合わせると、重厚な空間が生まれます。
昭和を知る世代には懐かしさが、知らない世代には非日常感が伝わるため、幅広い年代を取り込める点が強みでしょう。ただし要素を詰め込みすぎると暗く重くなるので、床か天井のどちらかを明度の高い仕上げにして抜けをつくると扱いやすくなります。
大正ロマン|和洋折衷のダークトーン
大正ロマンは、西洋建築と和風建築が融合した大正期特有のスタイルです。全体をダークトーンでまとめながら高級感を出す点が特徴で、あめ色や琥珀色に艶が出た木部、曲線的で装飾性の高い家具が中心になります。
ファブリックには小豆色や深緑といった日本の伝統色を選び、市松模様や矢羽根柄を差し込むと世界観が締まります。ステンドグラスや型板ガラスの建具を1枚入れるだけでも印象が変わるため、予算を集中させる「見せ場」を1か所決める進め方が効率的です。
昭和モダン|曲線と色ガラスの空間
昭和初期のクラシックで都会的なテイストが昭和モダンです。和風の建築要素に格式ある西洋家具を組み合わせ、曲線を描いたカウンター、色ガラスのペンダントライト、モザイクタイルなどでリズムをつくります。
純喫茶ほど濃くならず、現代的な食器やメニューとも調和しやすい中間的な選択肢といえます。古い建物を活かす方向で検討している場合は、古民家カフェの内装設計のポイントもあわせて確認しておくと、素材選びの判断がしやすくなるでしょう。
ナチュラル|明るい木目と白壁で軽やかに
オークやパイン材といった明るい木目に白い壁を合わせ、自然光を取り込む方向性がナチュラルスタイルです。レトロ系に比べて造作が少なく、内装コストを抑えやすい点が実務上のメリットになります。
住宅街の立地、モーニング需要、女性やファミリー層の取り込みを狙うケースと相性が良好です。一方で個性は出しにくいため、観葉植物・照明器具・食器といった後から替えられる要素で差別化を図りましょう。
インダストリアル|無骨な素材で個性を出す
コンクリート現し、黒いアイアン、配管や躯体を見せる天井などで構成するスタイルです。仕上げ材を減らせるため、スケルトン物件では工事費を圧縮できる場合があります。
ただし音が響きやすく、冷暖房の効率も落ちやすいという弱点があります。自家焙煎やスペシャルティコーヒーを打ち出す業態と組み合わせつつ、吸音材や部分的な木部の追加で居心地を補うのが現実的な進め方です。
喫茶店の内装工事にかかる費用相場

内装工事にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。物件タイプ別の坪単価から総額、内訳、費用を抑える工夫までを順に確認します。
- 居抜き物件の坪単価は30万〜60万円が目安
- スケルトン物件の坪単価は50万〜100万円が目安
- 厨房設備と内装仕上げで総額の6割前後を占める
- 小規模店ほど坪単価は割高になりやすい
物件タイプ別に見る坪単価の目安
内装費用をもっとも大きく左右するのは、契約する物件の状態です。前テナントの厨房や配管を引き継げる居抜き物件と、設備をゼロから構築するスケルトン物件では、坪単価が2倍近く変わります。
| 物件タイプ | 坪単価の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 居抜き物件 | 約30万〜60万円 | 厨房・給排水を流用でき初期費用を抑えやすい |
| スケルトン物件 | 約50万〜100万円 | 設計の自由度が高い反面すべての設備を新設 |
なお、厨房やトイレの基本設備は面積に関係なく一定の費用が発生するため、10坪前後の小規模店ほど坪単価は高く出ます。より詳細な内訳や坪数ごとの考え方は、カフェ内装の費用相場と坪単価の目安でも整理しています。
坪数別の内装工事費の総額目安
坪単価に想定面積を掛けると、総額のイメージがつかめます。以下は上記の坪単価をもとに算出した目安で、デザインの複雑さや厨房のグレードによって上下する点は前提としてください。
| 店舗規模 | 居抜き物件 | スケルトン物件 |
|---|---|---|
| 10坪 | 約300万〜600万円 | 約500万〜1,000万円 |
| 15坪 | 約450万〜900万円 | 約750万〜1,500万円 |
| 20坪 | 約600万〜1,200万円 | 約1,000万〜2,000万円 |
| 30坪 | 約900万〜1,800万円 | 約1,500万〜3,000万円 |
個人開業では15坪前後が選ばれやすく、居抜きなら1,000万円以内に収まるケースも珍しくありません。ハイグレードな仕上げを目指す場合は坪単価80万円以上になることもあるため、資金計画では内装費に加えて保証金・什器・運転資金まで見積もっておきましょう。
内装費用の主な内訳
見積書を読み解くには、費用がどの項目に配分されているかを把握しておく必要があります。喫茶店の場合、厨房設備と内装仕上げの2項目で総額の6割前後を占めるのが一般的です。
| 項目 | 主な内容 | 総額に占める割合の目安 |
|---|---|---|
| 内装仕上げ工事 | 床・壁・天井・造作家具 | 25〜35% |
| 厨房設備 | エスプレッソマシン・冷蔵設備・シンク | 25〜35% |
| 電気・給排水工事 | 配線・配管・照明器具の設置 | 10〜15% |
| 空調・換気設備 | エアコン・排気ダクト | 10〜15% |
| 家具・什器 | テーブル・椅子・食器棚 | 10〜20% |
| 設計・デザイン料 | 図面作成・パース制作・監理 | 工事費の5〜15% |
内装費用を抑える4つの工夫
コストを削る際は、後から変更しやすい部分から手をつけるのが鉄則です。配線計画や排気ダクトのような設備工事を削ると、開業後の追加工事でかえって高くつきます。
- 居抜き物件を選び厨房設備を引き継ぐ
- 造作家具を減らし既製品の家具で構成する
- アンティーク家具や中古什器を活用する
- お金をかける「見せ場」を1〜2か所に絞る
とくにレトロ系のスタイルでは、アンティーク家具や古材の活用がコスト削減と世界観づくりを同時に満たします。ただし中古設備は使用年数・稼働状態・保証の有無を必ず確認してから導入してください。
喫茶店の内装を決める8つのポイント

ここからは、内装を具体的に決めていく手順を解説します。次の8つのポイントを、決める順番に沿って押さえていきましょう。
- コンセプトとターゲットを最初に言語化する
- 厨房とカウンターの位置を先に固定する
- 席数と動線を図面で検証する
- ゾーニングでトイレと客席を切り分ける
- 照明は色温度と照度の2軸で計画する
- 家具は寸法と座り心地で選ぶ
- 床材と壁材は清掃性を基準に決める
- ファサードで入りやすさをつくる
コンセプトとターゲットを先に固める
内装づくりの出発点は、コンセプトの言語化です。「誰が、いつ、何をしに来る店か」を一文で説明できる状態にしてから、素材や色を選んでいきます。
| 主なターゲット | コンセプトの方向性 | 内装のキーワード |
|---|---|---|
| 20〜30代 | 写真を撮りたくなる空間 | 昭和レトロ・色ガラス・電源完備 |
| 40〜60代 | 静かに過ごせる上質な空間 | 純喫茶風・間接照明・ソファ席 |
| ファミリー層 | 気兼ねなく利用できる空間 | ナチュラル・広い通路・ベンチ席 |
| ビジネス層 | 作業や打ち合わせに使える空間 | シンプル・電源とWi-Fi・仕切り席 |
コンセプトが曖昧なまま進めると、業者への要望も曖昧になり、結果として平凡な空間ができあがります。表の内容をそのまま使うのではなく、自店の立地と照らし合わせて絞り込んでください。
厨房とカウンターの位置を先に決める
喫茶店の設計では、厨房とカウンターの位置を最初に決めてから客席を配置します。給排水・ガス・排気ダクトの経路によって厨房の置ける場所が制約されるうえ、後から動かすと工事費が跳ね上がるためです。
カウンターは、抽出の所作を見せる舞台にもなります。マスターとお客様の視線が自然に合う高さに設定すると、常連客が育ちやすい空間になるでしょう。客席から厨房が見える配置にする場合は、常に整理された状態を保てる収納量まで含めて計画してください。
席数と動線を図面で検証する
客席数の目安は1坪あたり1.2〜1.5席とされますが、長居を前提とする喫茶店では1.0〜1.2席程度に抑えるほうがコンセプトと合います。席数を最大化するより「席の質」を優先するという判断です。
動線については、お客様の経路とスタッフの経路が交差しないかを図面上で確認しましょう。主通路は幅900mm以上、客席間の通路は600mm以上を確保すると、配膳時のストレスが大きく減ります。長時間滞在を想定するなら、席ごとのコンセント設置もこの段階で決めておいてください。
ゾーニングでトイレと客席を分ける
ゾーニングとは、店内を用途ごとに区切る作業です。入口付近の待合スペース、静かに過ごせる奥の客席、厨房、トイレをどう配置するかで、同じ坪数でも居心地が大きく変わります。
とくに注意したいのがトイレの動線です。客席から出入りが直接見えない位置に設けると、お客様が気兼ねなく利用できます。あわせて、出入口の冷気が当たる席や、厨房の音とにおいが届きやすい席をつくらないよう配慮しましょう。
照明は色温度と照度で調整する
喫茶店の雰囲気を決める最大の要素が照明です。落ち着いた空間をつくるなら、色温度2700K前後の電球色を基準にし、全体照明を絞ってテーブルごとの手元灯で明るさを補う組み立てが有効といえます。
モダン寄りの空間を目指すなら、4000〜5000Kの白色光が候補になります。一方、厨房やレジ周りは作業精度が必要なため、客席とは分けて明るく計画してください。調光機能を入れておけば、モーニングと夜で印象を切り替えられます。
家具は寸法と座り心地で選ぶ
家具選びでは見た目に目が向きがちですが、寸法のバランスが崩れると飲食しづらい席になってしまいます。テーブル高は70cm前後、椅子の座面高は40〜45cm、その差である差尺は25〜30cm程度が使いやすい目安です。
布張りのソファは音を吸収し、レトロな質感も出せるため喫茶店と相性が良好です。ただし清掃性を考えると、撥水加工された張地や、カバーを外して洗えるタイプを選ぶほうが長く使えます。写真だけで決めず、必ず座って確かめてください。
床材と壁材は清掃性を基準に決める
床と壁は店内の面積の大半を占めるため、印象を決定づける要素です。同時に、飲食店では水・油・手垢が付きやすいという現実も考慮しなければなりません。
- 床材:防滑性と耐水性のある素材を選ぶ
- 壁材:拭き取り清掃ができる仕上げにする
- 厨房・カウンター周り:耐水性のある仕上げが求められる場合がある
- 腰壁:木材で腰高まで張り上半分を壁紙にするとコストを抑えられる
レトロな雰囲気を出したい場合は、レンガ調タイルやテラコッタ、くすみカラーの床材が候補になります。厨房まわりの仕上げは保健所の基準に関わるため、必ず事前に確認してください。
ファサードで入りやすさをつくる
どれほど内装にこだわっても、外観で入店をためらわれれば意味がありません。ファサードは店の顔であり、通行人が入るかどうかを判断する材料になります。
店内の様子が少し見える窓を設ける、看板に「自家焙煎」「喫茶」など業態が伝わる情報を入れる、入口の段差を減らすといった配慮が有効です。なお、地域の景観条例や賃貸物件の原状回復ルールで外観の変更が制限される場合があるため、看板やテントの設置前に確認しておきましょう。
内装で守るべき法規制と届出

内装は、デザインだけでなく法令面の要件も満たす必要があります。飲食店営業許可・内装制限・消防法という3つの観点から確認しておきましょう。
2021年6月の改正食品衛生法施行により、「喫茶店営業」の許可区分は「飲食店営業」に統合されました。これから開業する場合は、飲食店営業許可の設備基準に沿って内装を設計する必要があります。
飲食店営業許可の設備基準を満たす
かつては提供内容に応じて「飲食店営業」と「喫茶店営業」に分かれており、後者はアルコールと調理を伴うメニューを出せませんでした。法改正で類似業種の統廃合が行われ、現在は両者が一本化されています。
政令で定める営業許可業種が34業種から32業種に再編され、「飲食店営業」と「喫茶店営業」は「飲食店営業」に統合されました。
参考:北海道胆振総合振興局 営業許可制度の見直しについて
内装面では、専用の手洗い設備、規定サイズを満たすシンク、客席と調理場の区画、清掃しやすい床壁材といった要件が問われます。基準の細部は自治体ごとに異なるため、図面が固まる前に管轄の保健所へ事前相談を入れておきましょう。
建築基準法の内装制限に対応する
飲食店は不特定多数が集まる特殊建築物にあたり、壁と天井の仕上げに制限がかかります。とくにガスコンロを設置する厨房は火気使用室に該当し、準不燃材料以上での仕上げが求められる点に注意が必要です。
特殊建築物等の内装は、壁および天井の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならないと定められています。
参考:日本壁装協会 内装制限について
木材をふんだんに使いたい場合は、IHコンロの採用によって火気使用室に該当しなくなり、制限が外れるケースもあります。不燃認定を取得した木目調の建材も流通しているため、デザインと防火性能は両立可能だと考えてください。
消防法の防炎規制と届出を確認する
飲食店は消防法上の防火対象物にあたるため、カーテンやじゅうたんには防炎性能のある物品を使う必要があります。レトロな厚手のドレープカーテンを選ぶ際も、防炎ラベル付きの製品かどうかを確認しましょう。
あわせて、消火器や誘導灯といった消防用設備の設置基準、内装工事の着手前および使用開始前に必要な届出も所轄消防署への確認が欠かせません。届出漏れは開業日の延期に直結するため、スケジュールに余裕を持たせておくと安心です。
内装工事の流れと開業までの期間

開業日から逆算するには、工事全体の流れを把握しておく必要があります。問い合わせから引き渡しまでの進み方と期間の目安を見ていきます。
工事そのものは居抜きで2〜4週間、スケルトンで1〜2ヶ月です。ただし前段の設計と申請に時間がかかるため、物件契約から開業までは3〜6ヶ月を見込んでおきましょう。
問い合わせから契約までの進み方
候補となる業者を選んだら、希望するデザインの方向性と予算を伝えて問い合わせます。この段階で情報が具体的であるほど、返ってくる見積もりの精度も上がります。
その後、現地調査と打ち合わせを経て、2〜3週間程度で概算見積もり、平面レイアウト、素材サンプル、スケジュールが提示されるのが一般的な流れです。内容が要望どおりか、予算内に収まるかを確認したうえで工事契約へ進みましょう。
着工から引き渡しまでの目安
契約後は着手金を支払い、着工となります。工期は物件と規模によって差が出るため、以下の目安をもとに逆算してください。
| 工程 | 期間の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| コンセプト設計・物件探し | 1〜3ヶ月 | ターゲット設定・立地選定・契約 |
| 業者選定・見積もり | 3〜4週間 | 現地調査・相見積もり・比較検討 |
| 設計・プラン確定 | 3〜4週間 | 図面確定・素材決定・各種申請 |
| 着工〜引き渡し | 2週間〜2ヶ月 | 解体・設備工事・仕上げ・什器搬入 |
| 検査・開業準備 | 1〜2週間 | 保健所検査・消防確認・試験営業 |
造作家具や特注建具を多用する場合は、製作期間が別途必要になります。賃料は工事期間中も発生するため、フリーレント期間の有無も契約時に交渉しておきましょう。
失敗しない内装業者の選び方

内装の仕上がりは、依頼する業者によって大きく変わります。次の4つの観点から、見極めのポイントを押さえておきましょう。
- 喫茶店・飲食店の施工実績が豊富か
- 設計から施工まで一貫して対応できるか
- 見積書の内訳が項目ごとに明記されているか
- デメリットも含めて説明してくれるか
喫茶店・飲食店の施工実績を確認する
業者選びで最初に見るべきは、飲食店とくに喫茶店・カフェ業態の実績数です。厨房設備や排気ダクト、保健所対応の勘所は経験によって差が出やすい領域だからです。
施工事例のページでは、写真の見栄えだけでなく坪数・物件タイプ・工期が公開されているかも確認しておきましょう。地域で候補を絞り込みたい場合は、兵庫のカフェ内装デザイン工事でおすすめの会社7選のような比較記事も参考になります。
設計から施工まで一貫対応か見る
設計会社と施工会社を分ける分離発注は、デザインの自由度が高まる一方で、窓口が増えて調整の手間がかかります。設計から施工までを自社で完結できる会社であれば、意思決定が速く、中間マージンも発生しません。
また、図面と現場の間で認識のずれが起きにくく、変更が生じた際の対応もスムーズになります。初めての開業で判断に迷いやすい方ほど、一貫対応の会社を選ぶメリットは大きいといえるでしょう。
見積書の内訳が明確かチェックする
「内装工事一式」「諸経費」といった大括りの見積書には注意してください。どの工事にいくらかかっているかが読み取れないと、他社との比較も、削るべき項目の判断もできません。
信頼できる会社は、工種ごとの数量・単価・仕様を書き分けます。追加工事が発生する条件と、その際の精算方法についても、契約前に文書で確認しておきましょう。
相見積もりは2〜3社に絞る
複数社から見積もりを取ることは有効ですが、依頼先を増やしすぎると比較検討だけで数週間を消費します。実績と提案内容で候補を2〜3社に絞り、同じ条件・同じ図面で見積もりを依頼するのが効率的です。
判断材料は金額だけではありません。良い面ばかりでなくデメリットにも言及してくれるか、曖昧な説明で済ませていないかといった姿勢は、数ヶ月にわたる工事期間の進めやすさを大きく左右します。
喫茶店の内装に関するよくある質問

費用・工期・DIYの可否・レトロ内装のコツなど、喫茶店の内装で相談の多い5つの疑問に回答します。
Q
喫茶店の内装工事費用はいくらかかりますか?
A
坪単価は居抜き物件で約30万〜60万円、スケルトン物件で約50万〜100万円が目安です。15坪であれば居抜きで450万〜900万円、スケルトンで750万〜1,500万円が総額のイメージになります。厨房設備のグレードやデザインの複雑さで上下するため、必ず図面をもとに見積もりを取得してください。
Q
喫茶店の内装工事は自分でできますか?
A
塗装や棚の取り付けなど一部はDIYで対応できますが、全体を自分で仕上げるのはおすすめできません。電気工事や給排水工事は無資格での施工が法律で禁じられており、内装制限や飲食店営業許可の設備基準も満たす必要があるためです。仕上げ材の一部だけをDIYし、設備工事は業者に任せる分担が現実的でしょう。
Q
内装工事の期間はどれくらい必要ですか?
A
工事そのものは居抜き物件で2〜4週間、スケルトン物件で1〜2ヶ月程度が目安です。ただしその前段にヒアリング・設計・見積もり・各種届出の期間が必要で、物件契約から開業まで3〜6ヶ月を見込んでおくと安全といえます。造作家具や特注建具を多用する場合は、さらに余裕を持たせてください。
Q
レトロな喫茶店の内装にするコツはありますか?
A
時代設定を1つに絞ることが最大のコツです。昭和レトロと大正ロマンを混ぜると世界観がぼやけるため、どちらかを軸に据えましょう。そのうえで、濃色の木部・2700K前後の照明・布張りの椅子という3要素をそろえると、少ない予算でも雰囲気が立ち上がります。
Q
居抜き物件でもレトロな内装にできますか?
A
可能です。厨房や給排水は既存を活かしつつ、客席側の床材・壁の色・照明器具・椅子を入れ替えるだけでも印象は大きく変わります。天井や躯体まで手を入れる必要はないため、スケルトンから作るより費用を抑えながらレトロな空間を実現できるでしょう。
まとめ|喫茶店の内装は順番が9割

喫茶店の内装づくりは、コンセプト → 法規制の確認 → 予算配分 → デザインの順に進めるのが成功の型です。見た目から決めると、追加工事や許可の取り直しで予算と工期を消耗します。
- 内装は客単価・滞在時間・SNS拡散に直結する経営投資である
- レトロ系は時代設定を1つに絞ると世界観がぶれない
- 坪単価は居抜き30万〜60万円、スケルトン50万〜100万円が目安
- 厨房とカウンターの位置を先に決めてから客席を配置する
- 2021年の法改正で喫茶店営業許可は飲食店営業許可に統合された
- 厨房の内装制限はIHコンロの採用で外れる場合がある
- 物件契約から開業までは3〜6ヶ月を見込んでおく
- 業者は実績・一貫対応・見積書の明確さの3点で選ぶ
費用を抑えたい場合も、後から変えられない設備工事ではなく、後から変えられる家具や装飾から調整するのが原則です。
まずは「誰に、どんな時間を過ごしてほしいか」を一文で書き出すところから始めてみてください。その一文が固まれば、スタイル選びも予算配分も、判断に迷う場面が大きく減るはずです。