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2026.05.08
15:45

スケルトン物件の内装工事費用はいくら?業種別の坪単価と相場を解説

スケルトン物件内装工事費用はいくら?業種別の坪単価と相場を解説

スケルトン物件で店舗やオフィスを開業したいけれど、「内装工事の費用がいくらかかるのか分からない」と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

スケルトン物件の内装工事費用は坪単価25万〜80万円が相場ですが、業種や設備の内容によって大きく変動します。正しい相場観を持つことで、無駄な出費を防ぎながら理想の店舗を実現できます。

この記事では、スケルトン物件と居抜き物件の違いから、業種別の費用相場、内訳の詳細、コストを抑える具体的な方法まで網羅的に解説します。開業前の資金計画にぜひお役立てください。

スケルトン物件とは?居抜き物件との違い

スケルトン物件居抜き物件との違い

スケルトン物件は建物の躯体(骨組み)だけの状態で引き渡される物件です。デザインの自由度が高い反面、内装工事費用は居抜き物件の1.5〜2倍になるのが一般的です。

スケルトン物件とは、前のテナントが退去した際に内装や設備をすべて撤去し、コンクリートの打ちっぱなしの状態になった物件のことです。英語の「skeleton(骨格)」が語源で、建物の構造体だけが残っている状態を指します。

壁・床・天井の仕上げから電気配線・給排水・空調設備まで、すべてをゼロから構築するため、自分の店舗コンセプトに合わせた理想の空間を自由に設計できるのが最大のメリットです。一方で、工事費用が高額になりやすく、工期も1〜2ヶ月ほどかかります。

これに対して居抜き物件は、前のテナントの内装や設備が残った状態で貸し出されている物件です。既存の設備を活用できるため費用を抑えやすい反面、レイアウトやデザインの自由度が低くなります。

比較項目スケルトン物件居抜き物件
物件の状態躯体のみ(コンクリート打ちっぱなし)前テナントの内装・設備が残っている
坪単価の目安25万〜80万円15万〜50万円
デザインの自由度高い(一から設計可能)低い(既存レイアウトの制約あり)
工期の目安1〜2ヶ月2週間〜1ヶ月
退去時原状回復(スケルトン返し)が多い居抜き退去できるケースもある

内装にこだわりたい方や、前テナントと異なる業態で出店する場合は、最初から自由に設計できるスケルトン物件が適しています。一方、費用を抑えて早く開業したい場合は、同業態の居抜き物件を選ぶとよいでしょう。

スケルトン物件の内装工事費用の相場

スケルトン物件の内装工事費用の相場

スケルトン物件の内装工事費用は、坪単価25万〜80万円が一般的な相場です。15坪の店舗なら375万〜1,200万円、20坪なら500万〜1,600万円が目安になります。

内装工事費用は「坪単価 × 坪数」で概算できます。坪単価とは1坪(約3.3㎡)あたりの工事費用のことで、業種・設備のグレード・物件の状態によって変動します。

坪単価に大きな幅がある理由は、主に以下の3つの要因が関係しています。

  • 業種による設備の違い:飲食店は厨房設備やダクト工事が必要なため高額になりやすく、物販店は設備工事が少ないため比較的安く抑えられます
  • 仕上げ素材のグレード:量産品のクロスやタイルを使えば安く、天然石やオーダーメイド家具を取り入れると費用は上がります
  • 物件の規模:面積が広くなるほど坪単価は下がる傾向があります。これは、業者が確保する人員やスケジュールのコストが面積に関わらず一定だからです
坪数費用の目安(坪単価30万〜60万円で試算)
10坪300万〜600万円
15坪450万〜900万円
20坪600万〜1,200万円
30坪900万〜1,800万円

上記はあくまで内装工事費の目安であり、厨房機器・什器・家具・看板などは別途費用がかかります。また、近年は建築資材や人件費の上昇により、全体的に費用相場が高騰傾向にある点にも注意が必要です。

業種別のスケルトン物件内装工事費用

業種別のスケルトン物件内装工事費用

業種によって内装工事費用は大きく異なります。厨房設備や給排水工事が必要な飲食店は高額になりやすく、特殊な設備がいらない物販店は費用を抑えやすい傾向があります。

飲食店(居酒屋・カフェ・ラーメン店)

飲食店のスケルトン物件における内装工事費用は、坪単価40万〜80万円が相場です。15坪の店舗なら600万〜1,200万円が目安になります。

飲食店の費用が高くなる最大の理由は、厨房設備給排水・ダクト工事にあります。特に焼肉店やラーメン店のように大型の排気設備や専用ダクトが必要な業態は、坪単価が60万〜80万円に達することも珍しくありません。

一方、カフェのように厨房設備が比較的シンプルな業態であれば、坪単価40万〜50万円程度に抑えられるケースもあります。飲食店の内装費用について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

美容室・エステサロン

美容室のスケルトン物件における内装工事費用は、坪単価40万〜70万円が相場です。シャンプー台の設置に伴う給排水工事や、各セット面へのコンセント増設工事が費用を押し上げる要因になります。

エステサロンの場合は、個室のパーテーション設置や照明演出にコストがかかる一方、大規模な給排水工事が不要なケースが多く、坪単価は30万〜50万円程度です。ネイルサロンなど水道設備が少ない業態であれば、さらに安く抑えられます。美容室の内装費用を詳しく知りたい方は「美容室の内装費用と坪単価の相場を解説!」も参考になります。

オフィス・事務所

オフィスのスケルトン物件における内装工事費用は、坪単価20万〜40万円が相場です。飲食店や美容室と比べて水回り工事が少なく、パーテーション・照明・空調・OAフロアが主な工事内容となります。

ただし、会議室や応接室にグレードの高い内装材を採用したり、セキュリティ設備やIT機器のネットワーク配線にこだわると、坪単価が40万円を超えるケースもあります。執務スペースと来客エリアでメリハリをつけた予算配分がコストを抑えるコツです。

物販店・アパレルショップ

アパレルや雑貨店などの物販店は、厨房設備や大規模な給排水工事が不要なため、坪単価15万〜40万円と比較的安価に収まります。費用の大半は壁・床・天井の仕上げ工事と、照明計画やディスプレイ什器にかかります。

スケルトン物件のコンクリート打ちっぱなしをあえてデザインとして活かすことで、仕上げ工事を削減しつつおしゃれな空間を演出する方法もあります。

業種スケルトン物件の坪単価20坪の費用目安
飲食店(一般)40万〜80万円800万〜1,600万円
カフェ・バー35万〜55万円700万〜1,100万円
美容室40万〜70万円800万〜1,400万円
エステサロン30万〜50万円600万〜1,000万円
オフィス・事務所20万〜40万円400万〜800万円
物販店・アパレル15万〜40万円300万〜800万円

スケルトン物件の内装工事費用の内訳

スケルトン物件の内装工事費用の内訳

内装工事の費用は大きく分けて「仮設・解体工事」「仕上げ工事」「設備工事」「設計費用」の4つに分類されます。見積書の内訳を理解することで、不要なコストを見抜けるようになります。

仮設・解体工事

仮設工事は、工事に先立って行う養生シートの設置や仮設電源の引き込みなどです。スケルトン物件の場合は大規模な解体は不要ですが、既存の配管や下地の調整が発生する場合があります。費用の目安は全体の5〜10%程度です。

壁・床・天井の仕上げ工事

下地の造作から、クロス貼り・タイル施工・塗装・フローリングの張り替えまでが含まれます。使用する素材のグレードによって費用が大きく変動するため、こだわる場所と抑える場所のメリハリをつけることが重要です。費用の目安は全体の25〜35%を占めます。

電気・水道・空調の設備工事

電気配線、照明器具の設置、給排水管の新設、空調機器の設置などが含まれ、スケルトン物件の内装工事では最も費用がかかる項目です。特に飲食店ではダクト工事や厨房の給排水・ガス工事が必要なため、全体の40〜50%を占めることもあります。

設備工事の費用を抑えるには、物件選びの段階で電気容量や給排水の引き込み位置を確認し、追加工事を最小限にすることがポイントです。

デザイン・設計費用

内装デザインの企画・図面作成・3Dパース作成にかかる費用です。一般的に工事費の5〜15%が設計費用の目安となります。

施工とデザインを同じ業者に一括依頼する場合は、設計費が工事費に含まれていることもあるため、見積書の内訳を確認しましょう。

スケルトン物件の内装工事費用を抑える5つの方法

スケルトン物件の内装工事費用を抑える5つの方法

費用を抑えるために品質を犠牲にすると、開業後の修繕コストや集客力の低下を招く可能性があります。「削るべき場所」と「かけるべき場所」を見極めることが大切です。

複数の業者から相見積もりを取る

最も効果が大きいのが相見積もりです。最低でも3社以上から見積もりを取得しましょう。同じ工事内容でも業者によって30%以上の価格差が出ることは珍しくなく、数十万〜数百万円のコスト削減につながります。

比較する際は、工事範囲・使用素材のグレード・工期・追加工事時の単価など条件を揃えて依頼することがポイントです。見積書に「一式」とだけ記載されている項目がある場合は内訳が不明確なサインなので、必ず詳細を確認しましょう。

設計と施工を同じ業者に一括依頼する

デザイン設計と施工を別々の業者に依頼すると、設計料が工事費の10〜20%別途発生するのが一般的です。

同じ業者にワンストップで依頼すれば、設計料の圧縮に加え、設計と施工の担当者が同じチームのため図面と現場のギャップが起きにくく、手戻りの減少や工期短縮にもつながります。

水回りの位置を変更しないレイアウトにする

費用が想定以上に膨らむ原因として多いのが、給排水管の新設・延長工事です。トイレやシンクの位置を変更すると、床下の配管工事や排水勾配の調整で費用が数十万〜百万円単位で増加します。

物件選びの段階で給排水の引き込み位置を確認し、配管をできるだけ活かせるレイアウトを検討しましょう。内覧時に内装業者に同行してもらうのがおすすめです。

素材のグレードにメリハリをつける

すべてをハイグレードにすると費用が際限なく膨らむため、エリアごとの予算配分が重要です。お客様の第一印象を決めるエントランスや客席フロアには投資し、顧客の目に触れないバックヤードや倉庫はコストを抑えた素材を選びましょう。

たとえば客席に天然木のフローリング、バックヤードにクッションフロアを採用するだけでも数十万円単位のコスト差が生まれます。限られた予算をお客様の目に触れる場所に集中させることで、コストパフォーマンスを最大化できます。

スケルトンの状態をデザインに活かす

コンクリートの打ちっぱなしやむき出しの天井配管をあえてデザインとして見せる手法は、カフェやアパレルショップで人気のスタイルです。天井や壁面の仕上げ工事を省略できるため、仕上げ工事費を20〜40%削減できる場合があります。

ただし断熱性や防音性が低下するリスクもあるため、天井だけスケルトンにして壁面はクロス仕上げにするなど、部分的に取り入れるのが現実的です。

スケルトン物件で内装工事を依頼する際の注意点

スケルトン物件で内装工事を依頼する際の注意点

内装工事費用だけに注目しがちですが、開業には物件契約費用や設備購入費など、工事費以外にも多くのコストが発生します。全体を俯瞰した資金計画が重要です。

退去時の原状回復費用も見込んでおく

スケルトン物件は退去時に「スケルトン返し」(内装や設備をすべて撤去し、コンクリート躯体のみの状態に戻すことを求められる)が一般的です。内装解体・原状回復の費用は坪あたり3万〜7万円が目安で、20坪なら60万〜140万円ほどかかります。飲食店はダクトや厨房設備の撤去も加わるため、さらに高額になることも珍しくありません。

契約前に原状回復の範囲を書面で明確にしておくことがトラブル防止の鍵です。「居抜きで入居したが退去時はスケルトン返し」という条件もあるため注意しましょう。

予備費を工事費の10〜15%確保する

スケルトン物件の内装工事では、配管の劣化による交換や電気容量不足の増設工事など、着工後に判明する追加工事が発生しやすい傾向があります。

総工事費の10〜15%を予備費として別枠で確保しておきましょう。800万円の工事なら80万〜120万円が目安です。使わなかった場合はそのまま運転資金に回せるため、損にはなりません。

工事費以外の初期費用も試算する

開業資金は内装工事費だけではありません。以下のように工事費の外で100万〜数百万円単位の費用が発生するため、全体の中で内装工事の予算を設定する必要があります。

費用項目目安金額
保証金(敷金)家賃の6〜10ヶ月分
礼金・前家賃家賃の1〜2ヶ月分
厨房機器・什器100万〜500万円
看板・サイン30万〜100万円
備品・消耗品30万〜100万円

全体の予算配分は内装工事費70%・什器家具20%・看板サイン10%を目安にするとバランスのよい計画が立てられます。

施工実績が豊富な業者を選ぶ

安さだけで業者を選ぶと、品質や納期のトラブルが発生するリスクが高まります。以下のポイントを確認して選定しましょう。

  • 自分の業種の施工実績があるか
    業種特有の設備や法規制を熟知している業者は手戻りが少なくなります
  • 自社施工体制か外注中心か
    自社施工なら品質管理がしやすく中間マージンも抑えられます
  • アフターフォローの体制
    引き渡し後の保証期間や不具合対応の方針を事前に確認しましょう

物件契約前にインフラ状況を確認する

契約前に電気容量・ガス供給・給排水の引き込み状況を必ず確認しましょう。電気容量の不足やガス未引き込みが判明すると、インフラ整備だけで想定外の追加費用が発生します。

  • 電気容量
    業務用エアコンや厨房機器を使う場合は動力(三相200V)の引き込みが必要
  • 給排水
    水道の口径やグリストラップの設置スペースを確認。飲食店では排水管の口径不足が問題になりがち
  • ガス
    都市ガスかプロパンか、火力が必要な業態では供給量も要チェック

これらの確認は素人では判断が難しいため、物件の内覧時に内装業者に同行してもらうのがベストです。

スケルトン物件の内装工事に関するよくある質問

スケルトン物件の内装工事に関するよくある質問

スケルトン物件の内装工事について、費用・工期・業者選び・税務処理など、お客様からよくいただく質問をまとめました。

Q

スケルトン物件の内装工事にかかる工期はどのくらいですか?

A

設計打ち合わせを含めると、一般的に2〜3ヶ月が目安です。設計に約1ヶ月、施工に1〜2ヶ月かかります。飲食店で大規模な厨房工事が必要な場合は、さらに期間が延びることもあります。

Q

スケルトン物件と居抜き物件、初めての出店にはどちらがおすすめですか?

A

費用を抑えて早く開業したい場合は居抜き物件が有利です。ただし、前テナントと業態が大きく異なる場合は改修費がかさみ、スケルトン物件と同程度の費用になることもあるため、総合的に比較検討しましょう。

Q

坪単価が安い業者と高い業者では何が違うのですか?

A

坪単価は業者が自由に設定しており、統一ルールはありません。含まれる工事内容の範囲や、使用する素材のグレード、設計費の扱いが業者ごとに異なります。必ず見積書の内訳を確認し、同じ条件で複数社を比較することが重要です。

Q

スケルトン物件の内装工事費用は融資で調達できますか?

A

日本政策金融公庫の「新規開業資金」や自治体の制度融資など、内装工事費用に充てられる融資制度があります。融資審査では詳細な見積書と事業計画書が求められるため、早い段階で業者に正式な見積もりを依頼しておくとスムーズです。

Q

内装工事費用を経費として計上する方法は?

A

内装工事費用は基本的に固定資産として計上し、法定耐用年数に応じて減価償却します。ただし、修繕目的の工事は修繕費として一括計上できるケースもあります。資産計上と経費計上の区分は税務上の判断が必要になるため、税理士に相談することをおすすめします。

まとめ

スケルトン物件の内装工事費用は坪単価25万〜80万円が相場です。業種・設備グレード・物件の規模によって大きく変動するため、正しい相場観を持ったうえで資金計画を立てることが重要です。

この記事のまとめ
  • スケルトン物件はデザインの自由度が高い反面、居抜き物件の1.5〜2倍の費用がかかる
  • 業種別の坪単価は、飲食店40万〜80万円、美容室40万〜70万円、オフィス20万〜40万円、物販店15万〜40万円が目安
  • 費用の内訳で最も大きいのは設備工事(電気・水道・空調)で、全体の40〜50%を占めることもある
  • 相見積もり・設計施工の一括依頼・水回り位置の固定・素材のメリハリなどで費用を効果的に抑えられる
  • 退去時の原状回復費用や予備費(工事費の10〜15%)、工事費以外の初期費用も含めた総合的な資金計画が欠かせない

スケルトン物件の内装工事は金額が大きい分、業者選びと事前準備が成功を左右します。まずは複数の業者に相談し、自分の業態・予算に合った最適なプランを比較検討するところから始めてみてください。

【監修者】松岡 祐希

株式会社オールメイク代表。

兵庫県を中心に全国各地の美容室・サロン・飲食店・病院・オフィス・クリニックなど店舗の内装工事をしています。 自社でも運営してる美容サロンなどもあるので、配置含めて設計図のパズルは得意になります。