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2026.09.29
09:57

ネットカフェ内装の費用相場|坪単価15〜60万円と設計の要点

ネットカフェの開業や改装を検討し始めたとき、「内装工事にいくらかかるのか」「個室はどこまで作り込んでいいのか」が分からず、事業計画を先に進められない方は少なくありません。

結論からお伝えすると、ネットカフェの内装費用は居抜き物件で坪単価15万〜30万円、スケルトン物件で30万〜60万円が目安です。ただしネットカフェは個室型店舗として法規制が厳しく、席の広さや仕切りの作り方を誤ると、後から改修を求められるリスクを抱えます。

この記事では、規模別の費用総額と内訳、費用が高くなる構造的な理由、風営法・消防法・建築基準法の設計上の制約、席タイプ別のレイアウト設計、そしてコストを抑える具体策まで順に整理します。

ネットカフェ内装の費用相場と坪単価の目安

ネットカフェの内装費用は、物件の状態によって倍以上の差が出ます。ここでは物件タイプ別の坪単価と規模別の総額、工事費とは別に必要な初期費用を確認します。

結論
  • 元ネットカフェの居抜きなら坪単価15万〜30万円
  • スケルトンからの新規開業なら坪単価30万〜60万円
  • PC・ブース什器・コミックは内装工事費とは別枠で確保する

物件タイプ別の坪単価の目安

ネットカフェの内装工事費は、物件がどの状態から始まるかで大きく変わります。坪単価とは1坪(約3.3㎡)あたりの工事費のことで、「坪数 × 坪単価」で総額の概算をつかめます。

物件タイプ坪単価の目安主な工事内容
元ネットカフェの居抜き15万〜30万円ブース補修、内装のリフレッシュ、配線の更新
他業態からの居抜き25万〜45万円既存内装の解体、間仕切り新設、電気・LAN増設
スケルトン30万〜60万円内装一式、空調・換気、消防設備、給排水

同じ居抜きでも、前テナントがネットカフェかどうかで金額は倍近く変わります。飲食店や物販店の居抜きは、間仕切りをゼロから作り直すことになるためです。スケルトンから作る場合の考え方はスケルトン物件の内装工事費用の記事もあわせてご覧ください。

店舗規模別の内装工事費の総額

ネットカフェは席数がそのまま売上の上限になるため、必要な坪数から逆算して物件を選ぶのが基本です。個室と通路を確保すると、実質的に1席あたり3.5〜4.5㎡程度が必要になります。

店舗規模席数の目安居抜きの総額スケルトンの総額
30坪20〜25席450万〜900万円900万〜1,800万円
50坪35〜45席750万〜1,500万円1,500万〜3,000万円
80坪55〜70席1,200万〜2,400万円2,400万〜4,800万円

なお席数を詰め込むほど坪あたりの売上は上がりますが、通路が狭くなると避難経路の要件を満たせなくなります。席数の上限は消防・建築の基準側から決まると考えてください。

内装工事費とは別に必要な初期費用

ネットカフェで見落とされやすいのが、内装工事費に含まれない設備・什器の費用です。他業態と比べて1席あたりに乗る備品コストが大きいのがこの業態の特徴といえます。

費目費用の目安
個室ブース・チェア・デスク1席あたり10万〜25万円
PC・モニター・ネットワーク機器1席あたり10万〜15万円
コミック・書棚1万冊あたり150万〜300万円
シャワールーム1室あたり50万〜150万円
券売機・受付・会員管理システム100万〜300万円

内装工事費と同等かそれ以上の備品費がかかるため、資金計画は工事見積もりだけで組まないよう注意しましょう。

ネットカフェの内装費用が高くなる3つの理由

ネットカフェの坪単価が他の飲食店より高くなるのには、個室型店舗ならではの理由があります。費用が積み上がる3つの要素を見ていきます。

ポイント
  • 席数分の間仕切りを造作するため木工事の量が多い
  • PCの常時稼働に耐える電気容量とLAN配線が必要になる
  • 個室型店舗として消防設備の基準が厳しく適用される

個室ブースの造作と間仕切り工事

ネットカフェの内装費が飲食店より高止まりしやすい最大の要因は、間仕切りの物量にあります。40席の店舗なら40区画分の壁・デスク・配線ダクトを造る必要があり、木工事とボード工事の比率が突出して高くなるためです。

また、仕切り材には後述する内装制限がかかるため、安価な合板やクロスをそのまま使えないケースもあります。既製のブースユニットを併用すれば単価を下げられますが、天井高や梁の位置と干渉しないか事前の実測が欠かせません。

電気容量とLAN配線の増設工事

PC・モニター・空調・ドリンクバー機器が24時間稼働するため、一般的な物件の契約電力では容量が不足します。受電設備の増設や分電盤の増設が必要になれば、それだけで数十万円から百万円単位の追加費用が発生するでしょう。

加えて、各席へのLAN配線・電源配線を床下や天井裏に通す配線ルートの設計も必要です。物件契約前に受電容量とEPS(電気配管スペース)の位置を確認しておくと、想定外の増額を避けられます。

消防設備と空調・換気の追加工事

個室が並ぶ構造では、警報音や放送が各ブース内に届かなければなりません。そのため感知器・スピーカー・誘導灯を区画ごとに配置する設計が求められ、設備工事費が積み上がります。

空調も同様で、区画ごとに温度ムラが出やすいため、吹出口と還気の経路を席割りに合わせて設計する必要があります。間仕切り計画と設備計画を同時に進めないと、後から吹出口の追加工事が発生しがちです。

ネットカフェ内装で押さえるべき法規制

ネットカフェの内装は、風営法・消防法・建築基準法・自治体条例が同時にかかる業態です。図面を固める前に、所轄の警察署・消防署への事前相談を必ず挟んでください。

風営法の3号営業に該当しない客席の作り方

風営法では、飲食を提供する店舗で「他から見通すことが困難で、かつ広さが5㎡以下の客席」を設ける営業を3号営業(区画席飲食店)と定めています。ドリンクや軽食を出すネットカフェで、密閉された狭い個室を作ると、この定義に触れる可能性が生じます。

実務では、次のいずれかの設計で見通しを確保する対応が一般的です。

  • 1区画の床面積を5㎡超で設計する
  • 扉を設けず、出入口をカーテンや開口のままとする
  • 仕切りの上部を開放し、通路から内部を視認できる高さに抑える
  • 扉を設ける場合は透明部材や小窓で内部を見通せるようにする

実際には、こうした設計によって3号営業に該当しない形で運営するネットカフェがほとんどです。ただし該当するかどうかは構造・設備・営業方法を総合して判断されるため、図面段階で所轄警察署に確認を取ることが、後戻りを防ぐ確実な方法です。

消防法における個室型店舗としての扱い

ネットカフェや漫画喫茶は、消防法施行令別表第一の「(2)項ニ」に分類される個室型店舗です。カラオケボックス火災を受けて用途区分が細分化された経緯があり、延べ面積にかかわらず自動火災報知設備の設置が義務づけられます。

さらに(2)項ニは、雑居ビルに小面積で入居しても他用途に従属するとはみなされません。つまりビル全体が複合用途防火対象物として扱われ、建物側の設備要件にも影響します。

窓を塞ぐ設計にすると無窓階と判定され、消防設備の基準がさらに厳しくなる点にも注意しましょう。外観の閉鎖性と設備コストはトレードオフの関係にあります。

建築基準法の内装制限と用途変更の確認申請

建築基準法では、壁・天井の仕上げ材に不燃・準不燃材の使用を求める内装制限が課されます。個室の仕切り材に木材や布を多用したデザインは制限に抵触しやすいため、意匠を決める前に仕様の可否を確認してください。

また事務所や物販店だった物件をネットカフェに転用する場合、用途変更にあたります。原則として、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超えるときは建築確認申請が必要です。申請には既存建物の検査済証などの書類が要るため、物件契約前に有無を確認しておきましょう。

自治体条例と受付まわりの動線設計

東京都では、個室等を設けてインターネットを利用させる営業について、公安委員会への営業届出と利用者の本人確認、確認記録の作成・保存が義務づけられています。
参考:警視庁 都内のインターネットカフェをご利用の方へ

この種の条例がある地域では、受付で身分証の確認と会員登録を行う前提でカウンターを設計しなければなりません。入店から会計までの動線が滞らないよう、受付カウンターの奥行き・券売機や登録端末の設置位置・待機列のスペースを一体で計画する必要があります。カウンター造作の考え方は飲食店のカウンター費用の記事が参考になります。

集客と回転率を左右するレイアウト設計

レイアウトは、席数と客単価の両方を決める要素です。席タイプの構成比から通路幅、仕上げ材の選び方までを順に押さえましょう。

ポイント
  • 席タイプの構成比を先に決めてから席割りを描く
  • 通路は避難経路として成立する幅を優先的に確保する
  • 遮音・照明・仕上げ材は滞在時間の長さから逆算する

席タイプの構成比を先に決める

ネットカフェの売上は席単価と稼働率の掛け算で決まるため、席タイプの構成比が収益構造そのものを規定します。面積効率の高い席と単価の高い席をどう混ぜるかを、席割り作図より前に決めてください。

席タイプ1席の面積目安設計上の特徴
オープンシート2〜3㎡短時間利用向けで席数を確保しやすい
リクライニング個室3〜4㎡主力席になりやすく稼働率が安定する
フラットシート4〜6㎡深夜長時間パックの単価を押し上げる
ペアシート6〜8㎡客単価は高いが面積効率は下がる
防音・多目的ルーム4〜6㎡差別化できるが遮音構造の費用が増える

深夜利用が多い立地ではフラットシートの比率を高め、駅前の短時間利用が中心ならオープンシートを厚くするなど、商圏特性に合わせて配分を調整しましょう。

通路幅と回遊動線の確保

通路は席数を削る要素に見えますが、避難経路であると同時に、コミック棚やドリンクバーへの回遊を支える機能を持ちます。行き止まりの多い迷路状の配置は、避難上も運営上も不利になります。

主通路と副通路を明確に分け、どのブースからも2方向に避難できる構成を目指してください。スタッフが巡回しやすい動線を確保しておくと、深夜帯の見回りやトラブル対応の負荷も下がります。

遮音・照明・仕上げ材の選び方

ネットカフェは滞在時間が長く、静けさと暗さが体験価値に直結します。仕切りに吸音材を入れ、床にカーペットタイルを敷くだけでも隣席の物音は体感的に大きく変わるでしょう。

照明は全体を明るくせず、通路をやや落として席内を手元照明で補う構成が向いています。仕上げ材は、部分交換ができるカーペットタイルや汚れの目立ちにくい濃色系を選ぶと、営業しながらの補修がしやすくなります。

ネットカフェの内装費用を抑える5つのコツ

内装費用は、仕様を落とすより手戻りを減らすほうが効果的に下がります。設計段階で判断できる5つの方法を紹介します。

同業態の居抜き物件を優先して探す

最も効果が大きいのは、元ネットカフェの居抜き物件を使うことです。間仕切り・電気容量・LAN配線・消防設備がすでに整っているため、工事範囲を仕上げの更新と什器入替に絞れます。

ただしブースの劣化状況や、現行基準への適合状況によっては追加工事が必要です。契約前に施工会社と同行して現地を確認し、流用できる範囲を見極めましょう。

造作と既製ブースを使い分ける

すべてを現場造作にすると木工事費が膨らみます。標準的なリクライニング個室は既製のブースユニットを採用し、ペアシートや防音ルームなど差別化する席だけ造作にする、という切り分けが有効です。

既製品は工期短縮にも寄与します。工期が1週間縮まれば、その分の家賃と人件費が浮く点も見逃せません。

席数と面積のバランスを見直す

席数を増やすほど売上の上限は上がりますが、ブース・PC・配線の費用も比例して増えます。稼働率の想定が低い立地で席数を積み上げると、投資回収が遠のくおそれがあります。

ピーク時間帯の想定稼働率から必要席数を割り出し、その席数が収まる坪数で物件を選びます。この順序を守るだけで、過剰投資を避けられます。

設計段階で消防・警察に事前相談する

着工後に仕切りの高さや通路幅の是正を求められると、解体からのやり直しになります。法規の手戻りは最も高くつく追加費用だと考えてください。

基本設計が固まった段階で図面を持ち込み、所轄消防署と警察署に確認を取りましょう。設計料は増えても、結果的に総額は下がるケースがほとんどです。

相見積もりで内訳を比較する

複数社から見積もりを取る際は、総額ではなく内訳の粒度を比べてください。「内装工事一式」とだけ書かれた見積もりでは、どこにコストがかかっているのか判断できません。

木工事・電気工事・空調換気・消防設備・什器の項目ごとに数量と単価が示されていれば、削れる部分と削ってはいけない部分を切り分けられます。費用の考え方は飲食店の内装費用の記事でも詳しく解説しています。

ネットカフェ内装を任せる業者の選び方

内装の仕上がりと開業スケジュールは、依頼する業者の経験値に左右されます。業者選びで確認しておきたい3つの観点をまとめました。

ポイント
  • 個室型店舗の消防・建築の協議経験があるか
  • 設計から電気・空調・消防まで一括で管理できるか
  • 見積もりの内訳が工種ごとに開示されているか

個室型店舗の施工実績を確認する

ネットカフェの内装は、意匠より法規と設備の調整が難所になります。カラオケボックス、個室型のサロン、宿泊施設など、区画を伴う店舗の実績がある会社なら、協議の勘所を押さえた設計が期待できるでしょう。

問い合わせの際は「消防協議をどの段階で行うか」を質問してみてください。回答の具体性で、経験の厚みはある程度判断できます。

設備工事まで一括で対応できるか見る

この業態では、間仕切り・電気・空調・消防が互いに影響し合います。工種ごとに発注先が分かれていると、調整の責任者が不在になり、現場で手戻りが起きやすくなります。

設計から施工管理までワンストップで担える会社に任せれば、工程と品質の管理が一本化されます。業者選びの一般的な観点は店舗内装工事の業者選びの記事もご覧ください。

運営後のメンテナンス体制を確認する

24時間営業のネットカフェは内装の消耗が早く、開業後の補修頻度が高い業態です。カーペットの部分張替えやブースの補修に、営業を止めずに対応できるかは重要な判断材料になります。

引き渡し後の保証範囲と、緊急時の対応窓口を契約前に確認しておきましょう。長く付き合える体制があるかどうかが、10年単位の運営コストを左右します。

よくある質問

ネットカフェの内装について、よく寄せられる質問をまとめました。

Q

ネットカフェの内装工事にはどれくらいの期間がかかりますか。

A

工事期間だけを見れば、居抜きで2〜4週間、スケルトンで1.5〜3ヶ月が目安です。ただし設計と消防・建築の事前協議に1〜2ヶ月かかるため、物件契約から開業までは半年程度を見込んでおくと安全でしょう。

Q

個室に鍵付きの扉を設けても問題ありませんか。

A

飲食を提供する店舗で5㎡以下かつ見通しが困難な客席を設けると、風営法の3号営業に該当する可能性があります。5㎡超で設計する、上部を開放する、透明部材を使うなどの対応が必要です。判断は構造や営業方法によって分かれるため、所轄警察署への事前相談をおすすめします。
なお風俗営業の許可を取得した店舗は深夜営業ができないため、24時間営業を前提とするなら3号営業に該当しない設計が実質的な選択肢になります。

Q

漫画喫茶とネットカフェで内装の要件は変わりますか。

A

個室を設けてサービスを提供する点は共通のため、消防法上の扱いはほぼ同じです。ただし蔵書量が多い漫画喫茶では書棚の設置スペースと床荷重の検討が加わり、その分だけ客席に使える面積が減ります。

Q

内装工事のほかに必要な届出や許可はありますか。

A

飲食物を提供するなら飲食店営業許可、建物側では防火対象物使用開始届が必要です。東京都のように条例で営業届出と本人確認を求める自治体もあります。中古コミックを販売する場合は古物商許可も検討対象になるでしょう。

まとめ|ネットカフェ内装は法規制から逆算して設計する

ネットカフェの内装は、デザインの良し悪しよりも先に、法規制と設備要件が形を決める業態です。個室の広さ、仕切りの高さ、通路幅、電気容量といった数値が、席数と投資額の両方を規定します。

この記事のまとめ
  • 内装費の目安は居抜きで坪単価15万〜30万円、スケルトンで30万〜60万円
  • ブース什器やPCなど、工事費とは別枠の初期費用が同規模で発生する
  • 客席の広さと見通しは風営法、個室の設備要件は消防法から決まる
  • 席タイプの構成比を先に決めてから席割りとレイアウトを描く
  • 設計段階の事前協議が、結果として総額を最も下げる

だからこそ、物件を契約する前に施工会社を巻き込むことが失敗を防ぐ最短ルートになります。受電容量や検査済証の有無を契約前に確認できれば、想定外の追加工事はかなりの部分まで回避できるでしょう。

坪単価の相場を出発点に、席構成と法規要件を重ねて事業計画に落とし込んでいけば、投資額と収益の見通しは精度高く描けます。まずは候補物件の図面を用意し、実現可能な席数から検討を始めてみてください。

【監修者】松岡 祐希

株式会社オールメイク代表。

兵庫県を中心に全国各地の美容室・サロン・飲食店・病院・オフィス・クリニックなど店舗の内装工事をしています。 自社でも運営してる美容サロンなどもあるので、配置含めて設計図のパズルは得意になります。