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2026.10.06
09:19

トリミングサロンの内装|坪単価相場と失敗を防ぐ5つの要点

トリミングサロンの開業や改装を考え始めたとき、最初にぶつかるのが「内装にいくらかかるのか」「どこに予算をかけるべきか」という壁ではないでしょうか。見た目の好みだけで仕様を決めてしまい、開業後に排水の詰まりや臭いのクレームに悩まされるケースも少なくありません。

結論から言えば、トリミングサロンの内装費用は居抜き物件で坪35万〜60万円、スケルトン物件で坪70万〜120万円が目安です。そのうえで給排水・換気・防水の3点にきちんと予算を配分できるかが、開業後の運営を大きく左右します。

この記事では、坪単価と坪数別の費用目安から、費用を押し上げる工事項目、保健所の施設基準、犬とスタッフを守る設計、そして費用を抑える方法までを順に解説します。

目次

トリミングサロン内装の坪単価相場

トリミングサロンの内装費用は、業態と物件の状態で大きく変わります。ここでは坪単価の相場と坪数別の総額、数字が割れる理由を順に確認します。

結論
  • 居抜き物件は坪35万〜60万円が目安
  • スケルトン物件は坪70万〜120万円が目安
  • 10坪なら総額350万〜1,200万円のレンジ

ペットサロンとの違いで費用が変わる

同じ「サロン」でも、トリミングサロンとペットサロンでは必要な設備が異なります。トリミングサロンはシャンプーとカットに特化した専門店、ペットサロンはホテルやドッグラン、物販まで備えた複合施設を指すのが一般的な使い分けです。

項目トリミング専門サロンペットサロン(複合型)
中心サービスシャンプー・カットトリミング+ホテル・物販など
想定坪数8〜12坪15〜30坪
設備の要点ドッグバス・トリミング台ケージ数・24時間空調・防音

併設する機能が増えるほど、ケージの数・空調・防音の要件が上がり、坪単価も上振れします。まず自店がどちらに近い業態なのかを決めることが、予算を組む最初の一歩です。

居抜きとスケルトンで費用が2倍変わる

トリミングサロンの内装費用は、物件の状態によっておよそ2倍の差がつきます。理由は、給排水管・給湯・防水床といった「水回り一式」を新設するか流用するかで、工事のボリュームがまったく変わるためです。

前テナントがペットサロンだった居抜き物件なら、配管や換気ダクトをそのまま活かせるため坪35万〜60万円に収まりやすく、新設と比べて100万〜400万円のコスト削減も期待できます。一方、躯体だけのスケルトン物件はインフラをゼロから引き込むため、坪70万〜120万円を見込む必要があります。

つまり、物件タイプを決めた時点で予算レンジはほぼ確定します。内装会社に相談する前に、居抜きで探すのかスケルトンで作り込むのかを決めておくと、その後の打ち合わせが一気に具体化します。

坪数別に見る内装費用の目安

坪単価が分かれば、総額は「坪単価×坪数」で概算できます。トリミング専門サロンは8〜12坪の小規模店が中心で、物販やペットホテルを併設すると15坪以上になる傾向があります。

坪数居抜き物件スケルトン物件
8坪280万〜480万円560万〜960万円
10坪350万〜600万円700万〜1,200万円
15坪525万〜900万円1,050万〜1,800万円
20坪700万〜1,200万円1,400万〜2,400万円

ただし、水回りの費用は坪数に比例しません。ドッグバスや給湯器は8坪でも20坪でもほぼ同じ金額が必要なため、小さい店舗ほど坪単価が高く見えます。生体販売やグッズ販売を組み合わせる場合は、ペットショップ内装の費用構造もあわせて確認しておくと計画が立てやすくなります。

坪単価の情報が大きく割れる理由

ネット上の坪単価は、坪10万円台から坪120万円まで大きく割れています。この差の正体は、ドッグバス・給排水・給湯・防水床という水回り一式を金額に含めているかどうかです。

安い数字を出している媒体は、壁・天井・床の仕上げ工事だけを坪単価に含め、設備工事を別枠にしていることがほとんどです。逆に見積もり比較サイト系の数字は設備込みのため高く見えます。

坪単価を比べるときは「どこまで含んだ金額か」を必ず確認してください。含む範囲が違う数字を並べても、比較そのものが成立しません。

開業スタイル別の内装費用

テナント・自宅・居抜きのどれを選ぶかで、必要な工事と総額は数百万円単位で変わります。開業スタイルごとの費用感と注意点を見ていきます。

ポイント
  • テナント(スケルトン)は坪70万〜120万円
  • 自宅の一室は総額100万〜300万円台が中心
  • 元ペットサロンの居抜きは坪35万〜60万円

テナントは自由度と費用が比例する

テナントのスケルトン契約は、設計の自由度が最も高い代わりに初期費用が最大になります。給排水の引き込みから換気ダクト、防水床まですべて新設するため、坪70万〜120万円を見込む必要があります。

加えて見落とせないのが、契約から開業までに発生する空家賃です。工期は8坪で6〜8週間、15坪で8〜12週間が目安で、その間の家賃は売上ゼロのまま出ていきます。内装完成イコール営業開始ではなく、施設検査から登録証の交付まで1〜2週間かかる点も日程に織り込んでおきましょう。

フリーレントを交渉する際は、工事期間だけでなく検査期間も含めた日数で申し込むのが実務的です。工程表を添えると交渉材料になります。

自宅サロンは登録要件が先の関門

自宅の一室をトリミングルームに転用する場合、工事の中心は防水床への張り替え・給排水の引き込み・ドッグバス設置・換気強化で、総額100万〜300万円台に収まるケースが中心です。専用の出入口を新設したり防音を強化したりすると400万円を超えることもあります。

最大の利点は、家賃と空家賃がかからないぶん損益分岐点を下げられる点です。一方で、費用の安さと引き換えに「そもそも登録できるか」という関門が先に来ます。

  • 賃貸なら貸主の承諾、持ち家なら金融機関への確認
  • マンションの管理規約と用途地域による事業利用の制限
  • 生活空間と区分された飼養スペースと専用の洗浄設備

工事契約の前に、図面を持って管轄の動物愛護センターへ事前相談してください。基準の運用は自治体ごとに差があるため、着工後の判明では手戻りが大きくなります。

元美容室の転用には落とし穴がある

人向けの美容室からの転用は、給排水と給湯の配管が既にあるためスケルトンより確実に安く済み、坪45万〜60万円程度に収まるケースが多くなります。

ただし、人用のシャンプー台はドッグバスの代わりにはなりません。排水口径が40mm前後と細くて毛が詰まりやすいこと、高さと形状がトリミング作業に合わないこと、大型犬の体重や動きに耐える固定強度がないことが理由です。

結果として、既存設備の撤去処分費とドッグバスの新設費が二重に発生します。見積書では「既存設備撤去処分費」の行があるかどうかを必ず確認しましょう。

内装費用を左右する5つの工事

トリミングサロンの内装費は、水回りと換気に集中します。どの工事にいくらかかり、どこが削れないのかを工事項目ごとに整理します。

ポイント
  • 給排水とドッグバスの設置
  • 臭気を外に出す換気・防臭設備
  • 床と壁の防水・防汚仕上げ
  • ドライヤーに耐える電気容量
  • トリミング台やケージなどの什器

工事項目別の費用内訳を知る

総額だけを見ていると、どこが削れてどこが削れないのか判断できません。15坪の標準的なトリミングサロンを想定した場合、工事項目ごとの目安は次のとおりです。

工事項目15坪の費用目安削減の可否
設計・デザイン費30万〜60万円調整しやすい
給排水工事50万〜100万円削減不可
防水工事(床・壁)35万〜70万円削減不可
換気・防臭設備35万〜70万円削減不可
電気・空調工事45万〜90万円一部調整可
トリミング設備50万〜120万円中古で圧縮可
内装仕上げ45万〜90万円調整しやすい
受付カウンター15万〜35万円調整しやすい

給排水と防水だけで全体の25〜35%を占めるのが、この業態の特徴です。人の美容室では給排水が10〜15%程度ですから、2倍以上のウェイトがかかる計算になります。

給排水とドッグバスが最大の費目

内装費用の背骨になるのが水回りです。シャンプー台1台あたりの給排水工事費は15万〜35万円で、ドッグバス本体は標準タイプで10万〜14万円、大型犬が歩いて入れる扉付きのウォークイン型では25万〜45万円が目安になります。

ここで重要なのが、排水管の口径と勾配です。犬の被毛は大量に排水へ流れ込むため、排水管は口径50mm以上、勾配は1/50以上を確保し、毛取りトラップ(ヘアキャッチャー)を設計段階で指定するのが基本になります。給湯は連続シャンプーに耐える20号級以上が目安です。

なお、対応する犬のサイズを後から広げると、バス・給湯・防水・床補強が連鎖して作り直しになります。「大型犬まで受けるか」は着工前に必ず確定させてください。

換気と防水は削ってはいけない

換気と防水は、コストダウンの対象にすると後から倍の費用で跳ね返る項目です。動物の臭気対策として推奨される換気回数は1時間あたり10〜15回で、一般店舗の5〜8回に対して2〜3倍の能力が求められます。

業務用換気扇に活性炭フィルターや脱臭機器を組み合わせると30万〜80万円が目安ですが、能力不足のまま開業して近隣からクレームが出ると、ダクト延長やフィルター追加で20万〜60万円の追加工事が発生します。

床の防水も同様です。FRP防水で坪3万〜6万円、ウレタン防水で坪2万〜5万円かかりますが、通常のクロスやフローリングで済ませると1〜2年で劣化し、張り替えが必要になります。初期投資として割り切るのが結果的に安くつきます。

ドライヤーが増えると電気工事も増える

見落とされがちなのが電気容量です。業務用ドライヤーやブロアーは1台1.0〜1.5kW級が主流で、給湯・空調・乾燥機と同時に稼働する前提で容量を組む必要があります。

ドライヤー台数必要な工事追加費用の目安
1台既存回路で足りることが多いなし〜数万円
2台専用回路の増設8万〜15万円
3台以上幹線・契約容量の増強15万〜25万円

3台以上になるとビル側の工事が絡み、工期も延びます。物件契約の前に分電盤の空きと契約容量を確認しておくことが、後戻り工事を防ぐ最も安い対策です。

保健所の基準を満たす内装条件

トリミングサロンの開業には、第一種動物取扱業の登録と施設検査が必要です。登録窓口は自治体によって動物愛護センターや保健所などと異なりますが、内装設計で決まる要件は共通しているため、ここで確認しておきましょう。

ポイント
  • 第一種動物取扱業の登録が必須
  • 床と壁は清掃しやすい不浸透性の素材
  • 洗い場と手指・器具の消毒設備を設置
  • 二重扉や施錠による逸走防止の構造

第一種動物取扱業の登録要件

トリミングサロンの営業には、第一種動物取扱業(保管)の登録が必要です。登録には動物取扱責任者の選任に加え、施設の現地検査をクリアしなければなりません。

検査で見られるのは、床・壁の仕上げ、洗い場と消毒設備、作業面の照明と換気、逸走防止の構造、ケージの寸法、標識の掲示スペースといった点です。いずれも内装設計で決まる項目のため、図面を描く前に管轄の動物愛護センターへ事前相談するのが確実です。

飼養施設の基準は法令と環境省の運用指針で細かく定められており、自治体ごとに運用が異なる点にも注意が必要です。
参考:e-Gov法令検索 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則

床と壁は不浸透性の素材にする

保健所の基準では、床と壁が汚染されにくく清掃しやすい素材であることが求められます。具体的には、長尺塩ビシート・タイル・キッチンパネルなど、水を通さない不浸透性の仕上げが定番です。

木材を使いたい場合は防水塗装を施す必要がありますが、施術ゾーンと預かりゾーンについては拭き掃除のしやすいビニル系を選ぶほうが無難でしょう。壁は床から数十cmまで防水を立ち上げておくと、水はねによる劣化を防げます。

待合や物販スペースは意匠性のあるフロアタイルに張り分けると、清掃性とデザイン性を両立できます。ゾーンごとに素材を使い分けるのが実務的な解です。

ケージの数値基準を図面に反映する

トリミング中の待機用も含め、ケージの寸法には数値基準があります。分離型ケージ(犬)は、タテが体長の2倍以上、ヨコが体長の1.5倍以上、高さが体高の2倍以上と定められています。

加えて、従業者1人あたりの飼養頭数は犬20頭・猫30頭が上限です。なおトリミングの短時間保管や数日のホテル利用では、運動スペースの確保や1日3時間以上の運動といった規定は適用されませんが、頭数上限とケージの寸法基準は適用されます。

何頭預かれるかは図面の段階でほぼ決まり、それが月商の上限を先に決めてしまいます。
参考:環境省 犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針

犬にやさしい内装3つのポイント

法令基準を満たしたうえで、犬が安心して過ごせる環境をどうつくるかが集客に効いてきます。床・音・空調の3つの観点から解説します。

ポイント
  • 滑りにくい床材で足腰を守る
  • 吸音材と遮音シートで音を抑える
  • 空調と除湿で室温・湿度を管理する

滑りにくい床材で足腰を守る

床材は安全対策であると同時に、集客に直結する要素です。ツルツルした床は小型犬や高齢犬の脱臼・骨折の原因になり、足腰に不安のある犬の飼い主ほど床を見て店を選びます。

施術・預かりゾーンには、耐水性と消臭機能を備えた長尺塩ビシートやペット対応フロアが定番です。クッション性とグリップのある床材は単価が上がりますが、「高齢犬も安心して任せられる」という訴求を裏づける投資として回収しやすい費目といえます。

タイル仕上げを選ぶ場合は、犬が歩くエリアにノンスリップ加工を施しておきましょう。見た目の高級感と安全性は、両立させてこそ意味があります。

防音対策で音のストレスを抑える

サロン内はドライヤーやバリカンの作動音、他の犬の鳴き声が重なり、想像以上に騒がしい環境になります。犬の鳴き声は80〜100dBに達することもあり、聴覚の鋭い犬にとっては大きなストレス源です。

対策としては、施術室の壁にグラスウールなどの吸音材を充填し、遮音シートを併用する方法が効果的です。窓がある場合は二重サッシ化も検討しましょう。15坪規模で20万〜60万円が目安になります。

テナントビルや住宅密集地では、騒音クレームが退去勧告につながるリスクもあります。防音は犬のためだけでなく、営業を続けるための投資です。

空調と除湿で体調を守る

犬は人よりも暑さに弱く、室温管理には細心の注意が必要になります。とくにトリミング中はドライヤーの熱で室温が上がりやすいため、能力に余裕のあるエアコンとサーキュレーターの併用が有効です。

湿度が高すぎると皮膚トラブルの原因にもなるため、除湿機能も重視しましょう。ケージを置くエリアには温湿度計を設置し、記録を残せるようにしておくと施設検査の場でも説明しやすくなります。

空調は設備容量の計算が必要な工事です。ドライヤーの発熱量や犬の頭数を伝えたうえで、内装会社に容量を算出してもらってください。

働きやすいレイアウトのコツ

レイアウトは、スタッフの作業効率と飼い主の安心感の両方を左右します。動線・収納・見せ方の3点から押さえるべきコツを紹介します。

一方通行の動線で濡れた犬を運ばない

作業効率を決めるのは動線です。受付→待機ケージ→シャンプー→乾燥→カット台→引き渡しという流れを一本の線でつなぎ、行ったり来たりが発生しないレイアウトを目指します。

動線が往復すると、濡れた犬を抱えて移動する距離が増え、床の汚れと転倒リスクが上がります。シャンプーと乾燥のエリアをまとめて防水床・排水勾配・毛取りトラップ・強換気で固め、その両端に扉やのれんを設けると、被毛と湿気が待合側へ流れにくくなります。

ワンオペで運営する場合はとくに効果が大きく、1頭あたりの施術時間短縮にも直結します。ドッグサロンのレイアウト設計で押さえるポイントもあわせて確認しておくと、打ち合わせがスムーズです。

収納と作業台の高さを最適化する

ハサミ・バリカン・シャンプー・タオルなど、トリミングには多くの道具が必要です。作業台の周りに散乱していると効率が落ちるだけでなく、犬が触れてしまう危険もあります。

使用頻度に応じて壁面収納と移動式ワゴンを使い分け、手の届く範囲に必要なものだけを置く設計が理想です。トリミングテーブルは油圧昇降式(1台8万〜20万円)を選ぶと、スタッフの身長に合わせて高さを調整できます。

トリマーは長時間の立ち仕事と前傾姿勢が続く職種です。足元にクッション性の高いマットを敷くといった配慮も、長く働いてもらううえで効いてきます。

ガラス張りで飼い主の不安を減らす

初めて来店する飼い主にとって、施術の様子が見えるかどうかは大きな安心材料になります。トリミングルームをガラス張りにする設計は、多くの人気サロンが採用している手法です。

通行人へのアピール効果も高く、そのまま集客装置として機能します。一方で、犬が外の人や車に反応して興奮しないよう、窓の下部に目隠しフィルムを貼るといった配慮も欠かせません。

受付から施術ゾーンが見える位置にカウンターを置けば、引き渡しの待ち時間も接客の場に変わります。ドッグサロンの内装デザイン事例を見ながら、自店に合う見せ方を検討してみてください。

おしゃれな内装デザイン3スタイル

機能面を固めたら、次は店の世界観です。トリミングサロンで採用例の多い3つのスタイルと、外観の考え方を紹介します。

ポイント
  • ナチュラル・カフェ風:幅広い層に届く定番
  • ホテルライク:高価格帯・大型犬対応向き
  • 韓国風ミニマル:SNS発信と若年層に強い

ナチュラル・カフェ風で親しみを出す

最も採用例が多いのが、木目とグリーンを基調にしたナチュラル・カフェ風です。年代や性別を問わず受け入れられやすく、地域密着型のサロンと相性がよいスタイルといえます。

ポイントは、木の質感を「見える場所」に限定することです。施術ゾーンの壁と床は耐水性のあるパネルやシートで固め、待合と受付カウンターに木目を使えば、清掃性を保ったまま温かみを演出できます。照明は受付側に暖色系のペンダントライトを入れ、作業台の上は影が出にくい昼白色に分けるのが定石です。

グリーンを置く場合は、犬が口にしても問題のない種類を選ぶか、手の届かない高さに配置してください。

ホテルライクで高価格帯に振る

客単価を上げたい場合に有効なのが、大理石調の床材やガラスパーテーションを使ったホテルライクの方向性です。落ち着いたダークトーンや石目調の仕上げが、非日常感と信頼感を同時に伝えます。

注意点は、質感を優先しすぎると滑りやすくなることです。犬が歩くエリアの石目調タイルには必ずノンスリップ加工を入れるか、長尺シートの石目柄で代用してください。素材のグレードが上がるぶん坪単価も上がるため、仕上げに投資する範囲は待合と受付に絞ると費用対効果が高まります。

個室対応や送迎サービスを組み合わせると、内装の格と提供価値の整合が取りやすくなります。

韓国風ミニマルでSNS映えを狙う

近年問い合わせが増えているのが、白・グレー・ベージュを中心にした韓国風ミニマルです。余白を広く取り、什器の色数を絞ることで、写真に撮ったときに仕上がった犬が主役になります。

このスタイルは、撮影ブースをあらかじめ内装に組み込むと効果が跳ね上がります。ロゴ入りの壁面やアーチ型のニッチを1カ所設けるだけで、来店客が自発的に投稿してくれる導線ができあがります。

ただし白基調は汚れが目立ちやすいため、腰から下は拭き取りやすい素材にするなど、色と素材を階層で分ける設計が欠かせません。

外観とファサードで通行客を取り込む

内装と同じくらい来店数を左右するのが外観です。ファサード工事は25万〜80万円、看板工事は10万〜30万円が目安で、合わせて35万〜110万円を見込んでおくと計画が崩れません。

外観の要素費用の目安期待できる効果
ファサード工事25万〜80万円業種と世界観が一目で伝わる
看板工事10万〜30万円認知と視認性の確保
自動ドア20万〜40万円リードを持ったまま入店できる
スロープ5万〜15万円大型犬やシニア犬が入りやすい

大型犬を受け入れるなら入口幅は900mm以上を確保し、段差のない設計にしておきましょう。実際の仕上がりイメージは店舗デザインの施工事例で確認しながら、自店のコンセプトに合う方向性を固めてみてください。

内装費用を抑える5つの方法

内装費用は、削る場所を間違えなければ数百万円単位で圧縮できます。効果の大きい方法と、削ってはいけない項目を整理します。

ポイント
  • 同業態の居抜き物件を活用する
  • 相見積もりを3社以上から取る
  • トリミング設備は中古も検討する
  • 待合と物販什器は既製品でまとめる
  • 水回りと換気の減額はしない

同業態の居抜き物件を活用する

最も効果が大きいのは、元ペットサロンや元美容室の居抜き物件を選ぶ方法です。給排水管・防水仕上げ・換気ダクトを流用できれば、100万〜400万円の削減が見込めます。

ただし、安く見える物件ほど前テナントの状態査定が重要になります。排水管内の毛詰まり、防水層の劣化、下地まで染み込んだ臭気の3点は、表面のリフォームでは取り切れません。

契約前の内見には内装業者に同行してもらい、排水と防水の状態を見てもらうのが安全です。下地まで染み込んだ尿臭が残っていると、開業後に床の全面やり直しになりかねません。

相見積もりを3社以上から取る

同じ条件で3社以上から見積もりを取ると、総額で10〜20%の差が見えてきます。適正価格の把握だけでなく、各社の得意分野や提案力を比較できる点も見逃せません。

比較するときは総額ではなく内訳の粒度を見てください。「給排水工事 一式」「換気設備 一式」といった表記が多い見積書は、着工後に追加費用が発生しやすい傾向があります。

依頼時にシャンプー台の台数・排水管の口径・換気回数・防水仕上げの種類・ケージの台数を書いた仕様書を渡すと、各社の見積もり精度がそろい、比較しやすくなります。

削ってはいけない費用を見極める

コストダウンは「衛生・安全に関わる設備」と「見た目に関わる部分」を分けて考えるのが鉄則です。見た目はメリハリをつけやすい一方、衛生・安全に関わる設備を削ると数年後に大きな修繕費として返ってきます。

判断対象想定される結果
削ってよい待合の内装・物販什器・設計の作り込み第一印象は下がるが運営に支障は出にくい
削ってよいトリミング台などの設備(中古活用)新品の50〜70%で調達できる
削ってはいけない排水管の口径・毛取りトラップ毛詰まりで営業停止のリスク
削ってはいけない換気・防臭設備臭気クレームで営業継続が困難に
削ってはいけない床・壁の防水仕上げ数年で腐食し大規模改修が必要

退去時のコストも忘れないでください。原状回復費は坪5万〜12万円が目安で、15坪なら75万〜180万円かかります。契約時に造作譲渡の可否と原状回復の範囲を明記しておくと、将来の負担を抑えられます。

トリミングサロンの内装についてよくある質問

トリミングサロンの内装について、よく寄せられる質問をまとめました。

Q

トリミングサロンの内装費用はいくらかかりますか?

A

居抜き物件で坪35万〜60万円、スケルトン物件で坪70万〜120万円が目安です。10坪なら350万〜1,200万円のレンジになります。費用を大きく左右するのは給排水工事・換気設備・防水仕上げの3要素です。

Q

自宅の一室で開業する場合の内装費用は?

A

防水床への張り替え、給排水の引き込み、ドッグバス設置、換気強化で総額100万〜300万円台が中心です。専用出入口の新設や防音強化を加えると400万円を超える場合もあります。賃貸住宅やマンションでは、使用権原と管理規約の確認が先に必要です。

Q

内装工事の工期はどのくらいかかりますか?

A

設計から登録検査までを含めて、8坪で6〜8週間、15坪で8〜12週間、25坪で12〜18週間が目安です。内装完成イコール営業開始ではなく、施設検査から登録証交付まで1〜2週間かかる点を開業日から逆算してください。

Q

ドッグバスの価格はどのくらいですか?

A

幅900〜1,200mmのステンレス標準タイプで10万〜14万円、大型犬が歩いて入れる扉付きのウォークイン型で25万〜45万円が目安です。別途、給排水工事費が1台あたり15万〜35万円かかります。

Q

内装業者はどう選べばよいですか?

A

ペットサロンや動物病院の施工実績があるかを最優先で確認してください。面談では「給湯の号数と毛詰まり対策を数値と図で示せるか」「ドライヤー台数から電気容量を概算できるか」「ケージ基準を図面に落とせるか」の3点を質問すると、実力差が見えやすくなります。

トリミングサロン内装のまとめ

トリミングサロンの内装は、デザインの美しさと同じくらい、衛生・安全・近隣配慮といった目に見えない部分の作り込みが問われます。とくに給排水・換気・防水の3点は、後から追加すると倍近い費用がかかるうえ、営業停止や退去勧告といった経営リスクにも直結します。

この記事のまとめ
  • 費用の目安は居抜き坪35万〜60万円、スケルトン坪70万〜120万円
  • テナント・自宅・居抜きで総額は数百万円変わる
  • 給排水・換気・防水は削れない固定費と考える
  • 保健所の施設基準は着工前に事前相談で確認する
  • 滑りにくい床と一方通行の動線がデザインの土台

一方で、待合スペースの仕上げや物販什器は、既製品や中古の活用で十分にコストを圧縮できます。「削れるところ」と「削ってはいけないところ」を先に切り分けることが、予算内で理想のサロンを実現する最短ルートです。

まずは物件タイプと対応する犬のサイズ、シャンプー台の台数を決め、その条件で複数社から見積もりを取ってみてください。工期は規模によって6〜18週間かかり、そのあいだの家賃も開業コストに含まれます。第一種動物取扱業の基準を理解した施工会社を選べれば、施設検査での手戻りも防げます。

【監修者】松岡 祐希

株式会社オールメイク代表。

兵庫県を中心に全国各地の美容室・サロン・飲食店・病院・オフィス・クリニックなど店舗の内装工事をしています。 自社でも運営してる美容サロンなどもあるので、配置含めて設計図のパズルは得意になります。