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2026.08.17
14:14

間接照明で飲食店の雰囲気を高める5つの手法と費用相場

「おしゃれな店にしたいけれど、間接照明をどこにどう入れればいいのか分からない」「暗くしすぎて料理が見えなくならないか不安」と感じていませんか。飲食店の間接照明は、感覚で決めると失敗しやすい設備のひとつです。

結論からお伝えすると、飲食店の間接照明は、「手法の選定」「明るさと色温度の設計」「業態に合わせた使い分け」の3点を押さえれば、少ない投資でも空間の印象を大きく変えられます。造作を伴う場合の費用は1mあたり1〜3万円が目安です。

この記事では、間接照明が飲食店で効果を発揮する理由から、代表的な5つの手法、明るさ・色温度の具体的な数値、業態別の取り入れ方、費用相場、そして失敗しやすいポイントと法令上の注意点までを順に整理していきます。

目次

飲食店で間接照明が効果を発揮する理由

間接照明は、なぜ飲食店で効果を発揮するのでしょうか。ここでは直接照明との違いを整理したうえで、料理の見え方と滞在時間という2つの実利を見ていきます。

結論
  • 光源を隠すことで、まぶしさのない落ち着いた空間になる
  • 陰影が生まれ、料理とお客様の表情が立体的に見える
  • 滞在時間が伸び、客単価の向上につながりやすい

間接照明と直接照明の違い

間接照明とは、光源を直接見せず、天井や壁に光を反射させて空間を照らす手法のことです。ダウンライトやスポットライトのように対象へ真っすぐ光を当てる直接照明とは、光の届き方が根本的に異なります。

直接照明は必要な明るさを効率よく確保できる一方、光源が視界に入るとまぶしさを感じやすく、空間が平坦な印象になりがちです。対して間接照明は、反射によって光が拡散するため、影の輪郭がやわらかくなります。

両者は対立するものではなく、直接照明でベースの明るさを確保し、間接照明で雰囲気をつくるという組み合わせが飲食店の基本です。

料理と客の表情を美しく見せる

間接照明を導入する最大の実利は、料理の見え方が変わる点にあります。天井全体を均一に照らすだけの照明では料理の凹凸が消え、写真に撮っても平坦な印象になってしまうためです。

壁面や天井からの反射光を組み合わせると、皿の上に穏やかな陰影が生まれ、質感やツヤが伝わります。同時に、真上からの強い光でできる顔の影が和らぎ、向かい合った相手の表情も柔らかく見えるようになります。SNSへの投稿を前提とする店舗ほど、この差は集客に直結すると考えてよいでしょう。

滞在時間と客単価に影響する

照明計画は、店の回転率をコントロールする経営上の変数でもあります。明るく均一な空間は視覚的な刺激が強く、長居しにくい心理をつくるためです。

実際、ファストフードやセルフ式の店舗は全体照明を明るく保ち、短時間での回転を狙う設計が一般的です。反対に、ディナー営業で追加オーダーを取りたい業態では、間接照明で照度を落とし、席ごとに光だまりをつくる構成が向いています。

「何回転させたい店か」を先に決めてから照明を設計する——この順序を逆にすると、内装が完成してから違和感に気づくことになります。

飲食店で使える間接照明5つの手法

ここからは、飲食店で実際に使われる間接照明の手法を紹介します。次の5つの手法を、それぞれの特徴とあわせて見ていきましょう。

ポイント
  • コーブ照明:天井を照らし、空間全体を広く見せる
  • コーニス照明:壁面を上から照らし、奥行きを出す
  • フットライト:足元を照らし、浮遊感と安全性を両立する
  • バックライト:棚やボトルを背後から照らし、主役をつくる
  • アッパーライト:床から壁や植栽を照らし、印象を引き締める

コーブ照明で天井を柔らかく照らす

コーブ照明は、天井の一部を折り上げたり幕板を設けたりして光源を隠し、天井面に向けて光を放つ手法です。飲食店の間接照明としてはもっとも採用例が多く、汎用性に優れます。

天井が明るくなると視線が上に抜けるため、天井高が確保しづらい小規模店舗でも開放感を出せます。ただし造作が必要になるため、スケルトン物件での新規内装工事と同時に計画するのが現実的でしょう。既存店への後付けでは、天井を一部解体する工事が発生します。

コーニス照明で壁面に陰影をつくる

コーニス照明は、天井際に仕込んだ光源から壁面を上から下へ照らす手法を指します。壁の素材感を際立たせたい店舗に適した選択肢です。

モルタル、タイル、古材といったテクスチャのある壁と組み合わせると、光が表面をなでるように落ち、素材の凹凸が浮かび上がります。奥行きのある細長い区画では、片側の壁だけをコーニス照明で照らすと視線が奥へ誘導され、実際より広く感じさせる効果も見込めます。

なお、天井方向と壁方向の両方へ光を放つ形式はバランス照明と呼ばれます。コーブ照明とコーニス照明の中間的な性格を持ち、腰壁や窓上に仕込むケースが多い手法です。壁面の高い位置に横長の光の帯が生まれるため、天井を折り上げられない物件の代替案として検討されます。

フットライトで足元に光だまりをつくる

カウンターやベンチ席の下、段差の側面などにライン照明を仕込むのがフットライトです。演出と安全性を同時に満たせる点が、飲食店における強みといえます。

什器の下から光が漏れることで家具が床から浮いて見え、空間が軽やかな印象に変わります。加えて、段差や通路の位置がひと目で分かるため、照度を落とした夜営業でもつまずき事故を防ぎやすくなります。改装時の後付けもしやすく、低コストで効果を実感しやすい手法です。

バックライトで棚やボトルを見せる

バックライトは、背面や下部から対象を照らして輪郭を浮かび上がらせる手法です。バックバーのボトル棚、ディスプレイ什器、看板の裏側などが主な設置対象になります。

透過性のある瓶やグラスは光を通すため、背後から照らすだけで宝石のような見え方に変わります。棚板ごとに光源を仕込む場合は、板厚に隠れる細径のテープライトを選ぶと納まりがきれいです。店の「顔」となる一面に絞って投資すれば、費用対効果は高くなります。

アッパーライトで壁や植栽を照らす

アッパーライトは、床置きや床埋め込みの器具から上方向へ光を放つ手法です。器具を置くだけで成立するタイプもあり、造作工事なしで導入できるのが利点になります。

観葉植物の足元に置けば葉の影が壁一面に広がり、入口の壁に向ければファサードの印象づけに使えます。既存店で「まず一手を打ちたい」という場合の最初の選択肢として検討する価値があるでしょう。ただしコード類が客の動線を横切らないよう、配置には注意が必要です。

明るさと色温度の決め方の目安

間接照明は、明るさと光の色を数値で決めておくと失敗しません。場所別の照度、色温度、演色性、反射面という観点から、具体的な基準を確認します。

目安

JIS Z 9110(照明基準総則)の推奨照度では、飲食店の客室が200lx、調理室が500lx、食卓面の局部照明が500lxとされています。色温度は客席が2700〜3000Kの電球色、厨房は5000K前後が基本です。

場所別の推奨照度をおさえる

照明計画は、場所ごとに目標値を決めてから器具を選ぶのが正しい順序です。空間全体を一律の明るさにすると、メリハリのない店内になってしまいます。

場所照度の目安色温度の目安
客席(全般照明)200lx前後2700〜3000K
食卓面(局部照明)500lx前後2700〜3000K
レジ・会計まわり500lx前後3000〜3500K
厨房・調理場500lx前後5000K前後
出入口・ファサード周囲より高めに2700〜3000K

間接照明は反射光が主体になるため、設計上の計算値どおりの照度が作業面に届かないことがあります。竣工時には照度計での実測を依頼しておくと安心です。

色温度は2700〜3000Kが基本

客席の間接照明には、電球色にあたる2700〜3000Kを選ぶのが定石です。低い色温度の光は赤みを含み、リラックス感と食欲を後押しする働きがあるためです。

一方、厨房や検品スペースには昼白色(5000K前後)が適します。食材の色を正確に判断し、異物や汚れを見落とさないためには、白く明瞭な光が欠かせません。客席と厨房で色温度を混在させないことも重要で、カウンター越しに異なる色の光が見えると、境目に違和感が生じます。

演色性はRa90以上を選ぶ

照度と色温度に加えて確認したいのが、演色性を示すRa(平均演色評価数)です。演色性とは、自然光の下で見たときの色をどれだけ忠実に再現できるかを表す指標を指します。

Raが低い光源では、赤身の肉がくすんで見えたり、野菜の緑が沈んで見えたりします。一般的な照明器具はRa80前後ですが、料理を照らす箇所にはRa90以上の高演色タイプを指定しましょう。器具単価は上がるものの、対象を食卓面と料理提供カウンターに絞れば増額分は限定的です。

反射面の色と素材で明るさは変わる

間接照明の仕上がりは、器具の性能だけでは決まりません。光を受ける天井や壁の色・素材によって、同じ器具でも見え方が大きく変わるためです。

白に近い明るい面ほど光をよく反射し、少ない光量で空間が明るくなります。反対に、濃色の壁や黒い天井では光がほとんど返らず、想定した明るさに届きません。素材の質感も影響し、艶のある面は光を鏡のように反射して光源の粒が映り込み、マットな面は光を穏やかに拡散します。

  • 白・アイボリー系のマットな面:反射効率が高く、扱いやすい
  • 木目・塗り壁:素材感が際立ち、陰影が出やすい
  • 濃色・黒系の面:光量を大きく増やす前提で計画する
  • 光沢タイル・鏡面:光源の映り込み対策が必須

内装材の決定と照明の選定は、必ずセットで進めてください。仕上げ材を後から濃色へ変更すると、照明計画そのものをやり直すことになります。

調光と回路分けで時間帯を切り替える

ランチとディナーを両方営業するなら、照明を系統ごとに分けた回路分けが欠かせません。時間帯によって求められる明るさがまったく異なるからです。

たとえば「全体照明」「テーブル上の局部照明」「間接照明」「看板照明」の4系統に分けておけば、昼は全体を明るく、夜は全体を落として間接照明を主役にするといった切り替えがスイッチひとつで行えます。あわせて調光器を導入すれば、段階的な光量調整も可能になります。

注意したいのは、回路分けは配線工事の段階で決まってしまうという点です。後から系統を変えるには天井や壁の開口が必要になり、営業中の店舗では大がかりな工事になります。図面確認の段階で、必ず回路図まで目を通しておきましょう。

業態別に見る間接照明の取り入れ方

最適な照明計画は、業態によって変わります。ここでは代表的な業態ごとに、照度の考え方と主役になる手法を見ていきましょう。

使い分け

滞在時間を長くしたい業態ほど照度を落として間接照明の比率を高め、回転率を重視する業態ほど全体照明を明るく保ち、間接照明はアクセントに留めます。

業態客席の明るさ主役になる手法
バー・ダイニングバー低めバックライト・コーニス照明
居酒屋中程度コーブ照明+席上のペンダント
カフェやや明るめアッパーライト・フットライト
レストラン中程度食卓局部照明+壁面照明
ラーメン店・定食屋明るめ什器下のフットライト

居酒屋・バーは光源を隠して低照度に

夜間のアルコール提供が主体の業態では、間接照明を空間の主役に据える設計が合います。滞在時間の長さがそのまま売上に反映される構造だからです。

バックバーのボトル棚をバックライトで照らし、客席側は壁面のコーニス照明と席上の小型ペンダントに絞る構成が代表的でしょう。ただし照度を下げすぎるとメニューが読めず、法令上の問題も生じます。居酒屋の内装デザインで押さえるべきポイントとあわせて、動線と照明を一体で検討してください。

カフェは自然光となじむ光にそろえる

昼営業が中心のカフェでは、窓から入る自然光との連続性を意識した設計が求められます。日中に強い人工照明を焚くと、窓際と店奥で光の質が分断されてしまうためです。

壁面をやわらかく照らすアッパーライトや、什器下のフットライトを控えめに配し、全体照明は自然光を補う程度に留めるとまとまります。夜営業も行う場合は調光機能付きの回路を用意し、時間帯で光量を切り替えられるようにしておくと運用が楽になります。詳しくはカフェ内装の費用相場とデザインの決め方もご覧ください。

レストランはテーブルに光を集める

コース提供やディナー主体のレストランでは、テーブル面と周囲の明暗差をつくる設計が効果的です。光の当たった皿が視界の中心になり、料理への集中を促せます。

全般照明を200lx程度に抑え、食卓面だけを500lx前後まで引き上げる二段構えが基本形です。テーブルレイアウトが確定する前に照明位置を決めてしまうと、席の中心と光の中心がずれます。家具配置と照明計画は必ず同時に進めるようにしましょう。

ラーメン店・定食屋は明るさを優先する

回転率で成立する業態では、間接照明はあくまで補助の位置づけにとどめます。全体を暗くすると滞在が長引き、ピーク時の席効率が落ちるためです。

おすすめは、カウンター下のフットライトや券売機まわりのライン照明など、機能を兼ねた箇所に絞る方法です。清潔感を保ちながら安っぽさを回避でき、工事範囲も限定できます。明るい店=安い店ではないという点は、素材選びと照明の質で十分に表現できます。

間接照明の費用相場と工事のタイミング

間接照明にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは項目別の内訳と、工事のタイミングによる費用差、依頼先の注意点を解説します。

費用の目安

LEDテープライト本体は1mあたり3,000〜8,000円、光を隠すための造作工事は1mあたり10,000〜30,000円が目安です。10mの間接照明なら、器具と造作の合計で13万〜38万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

項目別の費用内訳を把握する

間接照明の見積もりは、器具代・造作工事費・電気工事費の3つに分かれます。この内訳を理解しておくと、業者間の見積比較が正確に行えます。

項目費用の目安備考
LEDテープライト本体1mあたり3,000〜8,000円高演色タイプは上振れ
造作工事(折り上げ・幕板)1mあたり10,000〜30,000円形状の複雑さで変動
電気配線・回路分け1系統あたり15,000〜30,000円調光導入で加算
ブラケット・スポット設置1灯あたり5,000〜15,000円工事費込みの目安
コーブ照明一式(小規模)100,000〜300,000円器具+造作+電気工事

上記は一般的な水準であり、天井の構造や物件の状態によって金額は変わります。総額の考え方は飲食店の内装費用と坪単価の相場で整理しています。

内装工事と同時に行うと費用を抑えられる

間接照明は、内装工事と同時に計画するほどコストを圧縮できます。天井や壁を開けた状態であれば、造作と配線を既存工程に組み込めるためです。

逆に営業中の店舗へ後付けする場合、天井の一部解体、復旧、内装仕上げのやり直しが加わり、同じ仕様でも費用が膨らみます。休業日数の分だけ機会損失も生じるでしょう。開業前であれば、飲食店の開業費用の内訳を確認しながら、照明を初期段階の予算に組み込んでおくことをおすすめします。

電気工事は有資格者への依頼が必須

配線を伴う照明工事は、電気工事士の資格を持つ者でなければ施工できません。電気工事士法で定められた義務であり、無資格施工は法令違反にあたります。

コンセントに挿すだけのスタンド型やクリップ型であれば自身での設置も可能ですが、天井裏への電源引き込み、スイッチの増設、調光器の設置などはすべて有資格者の作業範囲です。火災リスクと保険適用の問題に直結するため、必ず登録電気工事業者へ依頼してください。

間接照明でよくある失敗と法令の注意点

間接照明には、雰囲気を優先するほど陥りやすい落とし穴があります。ここでは運用面の失敗と、見落としやすい法令上の注意点を確認します。

注意
  • 照度不足でメニューや会計伝票が読みづらくなる
  • 座った姿勢で光源が見え、まぶしさを感じさせる
  • 掘り込み部分にホコリがたまり、清掃負担が増える
  • 客席の照度が10ルクス以下だと風営法の許可対象になる
  • 非常用照明・誘導灯の設置要件を見落とす

明るさ不足で実務が回らなくなる

もっとも多い失敗は、雰囲気を優先しすぎて必要な明るさを失うケースです。間接照明は反射光が主体のため、想定より作業面が暗くなりやすい性質があります。

メニューの文字が読めない、伝票の記入ができない、床のこぼれに気づけないといった問題は、開業後の運営を確実に圧迫します。対策としては、テーブル面と会計まわりに局部照明を別回路で用意し、全体を落としても手元だけは確保できる構成にしておくことが有効です。

光源が見えるとグレアの原因になる

間接照明は光源を隠してこそ成立します。設計時の立ち位置と、客が実際に座ったときの目線が違うと、席から光源が丸見えになり、グレア(不快なまぶしさ)を生んでしまいます。

特に注意したいのが、テーブル席の椅子とカウンターのスツールで目線の高さが変わる点です。光源が視界に入らない境界線を意識し、幕板や遮光板の高さは各席の座面高から実際に確認して決めるのが確実でしょう。図面上の断面だけで判断すると、施工後に光源が露出する事態を招きます。

清掃とメンテナンスの負担を考慮する

造作の内部にホコリがたまることも、見落とされやすい問題です。飲食店では油分を含んだ空気が循環するため、一般の店舗より汚れの付着が早く進みます。

掘り込みが深すぎると手が入らず、清掃が事実上できません。器具交換の際に天井を壊す必要が出るケースもあります。設計段階で清掃と器具交換の手順を業者に確認し、開口部の幅や器具の固定方法まで詰めておきましょう。

風営法と施設基準の照度規制を確認する

照度を下げる際は、法令上の下限を必ず確認してください。客席の照度が一定を下回ると、通常の飲食店営業では認められなくなります。

風営法では、設備を設けて客に飲食させる営業のうち、営業所内の照度を10ルクス以下として営むものが風俗営業(2号営業)に位置づけられ、公安委員会の許可が必要とされています。また深夜酒類提供飲食店営業では、営業所の照度を20ルクス以上とすることが求められます。
参考:神奈川県警察 風俗営業等の規制概要と営業申請(届出)手続

あわせて、食品衛生法にもとづく営業許可の施設基準では、調理場に作業へ十分な明るさを確保することが求められます。運用の細部は自治体ごとに異なるため、設計を確定させる前に管轄の保健所と警察署へ相談するのが安全です。

なお、施設基準は食品衛生法の改正にともなって見直されており、自治体が公開する最新の基準を確認する必要があります。
参考:東京都保健医療局 営業施設の基準

非常用照明と誘導灯の要否も確認する

照度を落とした空間ほど、避難時の設備が重要になります。演出用の照明とは別に、法令で求められる設備を設置しなければなりません。

建築基準法では、飲食店を含む特殊建築物のうち一定の規模・条件に該当する居室へ非常用照明の設置が求められます。また消防法にもとづき、避難口誘導灯や通路誘導灯の設置が必要となるケースも一般的です。要否は建物の規模・階数・防火対象物の区分によって変わるため、自己判断は避けてください。

間接照明の造作を進めてから設備の追加が判明すると、天井の納まりを組み直すことになります。設計の初期段階で、所轄の消防署と建築士に確認を取るのが確実な進め方です。

飲食店の間接照明に関するよくある質問

器具の種類、デメリット、法令、後付けの可否、電気代という5つの疑問について、実務でよく寄せられる内容を整理しました。

Q

飲食店でよく使われる照明の種類を教えてください。

A

全般照明にはダウンライトやシーリングライト、局部照明にはペンダントライトやスポットライトが使われます。間接照明としてはLEDテープライトを用いたコーブ照明・コーニス照明・バランス照明、壁付けのブラケットライトが代表的です。実際の店舗では、これらを回路ごとに分けて組み合わせるのが一般的です。

Q

間接照明のデメリットは何ですか。

A

主なデメリットは、同じ明るさを得るのに直接照明より多くの光量が必要になること、造作工事の分だけ初期費用がかさむこと、掘り込み部分にホコリがたまり清掃の手間が増えることの3点です。全般照明との併用と、清掃しやすい形状の設計によって、いずれも軽減できます。

Q

飲食店の照明の明るさに関する法律はありますか。

A

客席の照度を10ルクス以下として営業する場合、風営法上の風俗営業に該当し、公安委員会の許可が必要です。深夜に酒類を提供する営業では20ルクス以上が求められます。あわせて食品衛生法にもとづく施設基準、建築基準法の非常用照明、消防法の誘導灯も関わるため、前述のとおり保健所・警察署・消防署への事前相談をおすすめします。

Q

営業中の店舗に間接照明を後付けできますか。

A

後付けは可能です。什器下のフットライトや棚のバックライト、床置きのアッパーライトであれば、短期間の工事で導入できます。一方、天井を折り上げるコーブ照明は解体と復旧が必要になり、休業を伴う大がかりな工事になります。改装を予定しているなら、その工程に合わせるのが効率的です。

Q

間接照明を増やすと電気代は高くなりますか。

A

器具の数が増える分だけ消費電力は上がりますが、LEDテープライトは1mあたり数ワット程度と消費電力が小さく、影響は限定的です。むしろ全般照明の照度を落として間接照明で補う設計にすれば、従来の照明計画より消費電力が下がるケースもあります。調光回路を入れて時間帯ごとに制御すると、さらに無駄を減らせます。

まとめ|飲食店の間接照明は計画段階で決まる

飲食店の間接照明で結果を分けるのは、器具のグレードではなく計画の順序です。「何回転させたい店か」を先に決め、そこから客席の照度、色温度、手法の組み合わせへと落とし込んでいけば、無理のない設計になります。

この記事のまとめ
  • 手法はコーブ・コーニス・フットライト・バックライト・アッパーの5種類から選ぶ
  • 客席200lx・厨房500lx、客席の色温度は2700〜3000Kが基準
  • 料理を照らす箇所はRa90以上の高演色タイプを指定する
  • 造作を伴う場合は1mあたり10,000〜30,000円が目安
  • 内装材・家具配置・回路分けと同時に決める

とりわけ、内装材の色や質感、家具のレイアウト、電気の回路分けは、いずれも照明と切り離せない要素です。これらを別々に決めてしまうと、施工後に「思っていた雰囲気と違う」という結果を招きます。逆にいえば、設計段階で足並みをそろえておくだけで、追加費用をかけずに完成度を引き上げられるということです。

照度に関する法令の確認も、工事が始まる前に済ませておきたい項目でしょう。照明は、あとから直すのがもっとも高くつく設備です。設計から電気工事、内装仕上げまでを一貫して任せられる業者であれば、こうした整合性を工程全体で担保できます。業者選びの視点は飲食店の店舗デザインに強い業者の選び方で整理していますので、あわせてご覧ください。

【監修者】松岡 祐希

株式会社オールメイク代表。

兵庫県を中心に全国各地の美容室・サロン・飲食店・病院・オフィス・クリニックなど店舗の内装工事をしています。 自社でも運営してる美容サロンなどもあるので、配置含めて設計図のパズルは得意になります。