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2026.04.27
13:06

飲食店の開業費用はいくら?内訳・業態別の相場と費用を抑える5つのコツ

飲食店の開業費用はいくら?内訳、業種別の相場と費用を抑えるコツ

飲食店の開業を検討するとき、最初の壁となるのが「いったいいくら必要なのか」という資金面の不安です。物件取得費・内装工事費・厨房設備費に加え、開店後の運転資金まで考えると、見えにくい費用が積み重なっていきます。

結論からお伝えすると、飲食店の開業費用は平均1,000万円前後が目安で、業態や物件条件によって500万円〜1,500万円の幅で変動します。日本政策金融公庫の調査でも開業費の平均は975万円・中央値600万円と報告されており、自己資金は総額の3割程度を準備しておくのが一般的です。

この記事では、飲食店の開業費用の具体的な内訳・業態別の相場・自己資金と融資のバランス・費用を抑える5つのコツ・補助金の活用方法まで、開業準備に必要な情報をまとめて解説します。

これから店舗を持ちたい方が、現実的な資金計画を立てる手助けになれば幸いです。

飲食店の開業費用の相場と平均額

飲食店の開業費用の相場と平均額

飲食店の開業費用は、業態・店舗規模・立地によって金額が大きく異なります。まずは全国平均と業態別の目安を押さえることで、自分の計画がどの位置にあるかが見えてきます。ここでは公的データをもとに、開業費用の全体像を整理します。

この章のポイント
  • 開業費用の平均は975万円・中央値600万円
  • 飲食店は業態によって500万円〜1,500万円の幅で変動
  • 「1坪あたり100万円」が概算の目安として使える

飲食店開業費用の全国平均と中央値

日本政策金融公庫の新規開業実態調査(全業種対象)によると、開業費用の平均は975万円、中央値は600万円とされています。平均値が中央値より高いのは、一部の大規模開業がデータを引き上げているためで、多くの開業者は500万〜600万円台で開業しているのが実態です。
引用元:日本政策金融公庫総合研究所 2025年度新規開業実態調査

飲食店は厨房設備や排気ダクト工事など専門工事が必要なため、内外装工事費の比重が他業種より高くなりやすい特徴があります。資金計画を立てる際は、平均値だけでなく中央値も参考にし、無理のない予算で計画することが大切です。

業態別の開業費用の目安

飲食店と一口に言っても、業態によって必要な設備や客席数が大きく異なるため、開業費用にも差が生じます。厨房設備が大規模な業態ほど高額になり、テイクアウト主体の小規模業態は抑えられる傾向があります。

業態開業費用の目安特徴
カフェ・喫茶店300万〜800万円厨房設備が比較的コンパクト
小規模バー400万〜800万円客席中心で設備投資が少ない
ラーメン店700万〜1,500万円給排気・高火力設備が必要
居酒屋・和食800万〜1,500万円厨房規模・客席数で変動
レストラン(洋食)1,000万〜2,000万円客席の広さと内装グレード
焼肉店1,200万〜2,500万円無煙ロースターと排気ダクト

同じ業態でも立地や物件条件で金額は変動します。とくに焼肉店は排気ダクトや無煙ロースター設備が高額になりやすく、ラーメン店は給排気設備の規模で大きく差がつきます。

業態を決める段階で、必要設備を含めた予算感をつかんでおくことが重要です。

店舗規模・坪数別のシミュレーション

店舗の坪数は開業費用を左右する大きな要素です。一般的には「1坪あたり100万円」を基本目安として、坪数を掛けることで概算を算出できます。ただし小規模店ほど坪単価は割高になる傾向があります。

坪数席数の目安開業費用の概算
10坪10〜15席500万〜1,000万円
15坪15〜25席700万〜1,500万円
20坪25〜35席1,000万〜2,000万円
30坪40〜50席1,500万〜3,000万円

厨房や給排水などの基本設備は店舗面積に関係なくある程度の費用が発生するため、坪数で割ると小規模店の方が割高になります。以下の記事もあわせて確認し、自店の条件に近い数字で予算を組み立てましょう。

飲食店の開業費用の内訳を徹底解説

飲食店の開業費用の内訳

開業費用の総額だけを見ても、何にいくらかかるのかが分からなければ予算を組めません。

ここでは飲食店の開業費を5つの主要項目に分け、それぞれの相場と注意点を解説します。内訳を理解すれば、見積もりの妥当性も判断しやすくなります。

物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料)

物件取得費は、店舗を借りるために最初にかかる費用で、保証金・礼金・仲介手数料・前家賃などで構成されます。一般的に家賃の6〜12ヶ月分が初期費用として必要となり、開業費用全体の15〜20%を占めます。

  • 保証金:家賃の6〜10ヶ月分(退去時に一部返還)
  • 礼金:家賃の1〜2ヶ月分(返還なし)
  • 仲介手数料:家賃の1ヶ月分+税
  • 前家賃:契約月分+翌月分

家賃20万円の物件なら、物件取得だけで160万〜260万円が必要になる計算です。立地条件のよい繁華街ほど保証金が高額に設定されるため、物件選びは家賃だけでなく初期費用の総額で判断する必要があります。

内外装工事費(スケルトン・居抜きで変動)

内外装工事費は、開業費用の中で最も大きな割合を占める項目です。日本政策金融公庫のデータでも、飲食店開業費の約4割が内外装工事費に充てられています。物件の状態によって金額は大きく変わります。

物件種別坪単価15坪の総額目安
スケルトン物件40万〜80万円600万〜1,200万円
居抜き物件20万〜40万円300万〜600万円

居抜き物件は前店舗の設備を活用できるため、スケルトン物件と比べて初期費用を30〜50%程度抑えられます。ただし業態が異なる場合は改修費がかさむため、契約前に専門業者の現地調査が欠かせません。詳細は飲食店の内装費用と坪単価の目安で詳しく解説しています。

厨房設備・什器備品費

厨房設備・什器備品費は、業態によって金額の幅が最も広い項目です。コンロ・冷蔵庫・製氷機・フライヤーなどの厨房機器に加え、テーブル・椅子・食器類まで含めると、200万〜500万円が一般的な目安となります。

  • 厨房機器(コンロ・冷蔵庫・製氷機など):100万〜300万円
  • テーブル・椅子・カウンター:50万〜150万円
  • 食器・調理器具・備品類:30万〜80万円
  • レジ・POSシステム:20万〜50万円

新品にこだわらず中古機器やリースを活用すれば、新品の30〜50%の価格で揃えられるケースもあります。とくに業務用厨房機器は耐久性が高く、信頼できる業者から仕入れれば初期投資を100万円以上圧縮できる可能性があります。

運転資金と諸経費

見落としがちですが、開業時にもっとも重要なのが運転資金です。開業直後は集客が安定せず、思うように売上が上がらないケースが大半です。最低でも家賃・人件費・仕入れの6ヶ月分を運転資金として確保しておきましょう。

項目月額の目安(15坪・スタッフ2名)6ヶ月分
家賃20万円120万円
人件費40万円240万円
仕入れ・光熱費30万円180万円
合計90万円540万円

諸経費として、営業許可の申請費用・食品衛生責任者講習料・看板や名刺などの広告宣伝費・損害保険料なども必要です。これらは合計で30万〜100万円程度を見込んでおきましょう。

飲食店開業の自己資金と融資の目安

飲食店開業の自己資金と融資の目安

開業費用を全額自己資金でまかなうのは現実的ではなく、多くの場合は融資との組み合わせで資金を調達します。

ここでは自己資金の目安と、代表的な融資制度・補助金について解説します。資金調達の選択肢を知っておけば、計画の幅が広がります。

自己資金は開業費用の3割が目安

飲食店の開業では、自己資金は開業費用全体の3割程度を準備するのが望ましいとされています。日本政策金融公庫の融資審査でも自己資金の比率が重視されるため、計画的に貯蓄しておく必要があります。

たとえば開業費用が1,000万円の場合、自己資金として300万円、残りの700万円を融資でまかなう形が標準的です。自己資金が少なすぎると融資審査が通りにくくなるため、開業を決めたら少なくとも1〜2年は計画的に貯蓄期間を設けることをおすすめします。

日本政策金融公庫の創業融資

飲食店の開業時にもっとも活用される融資制度が、日本政策金融公庫の創業融資です。政府系金融機関のため、民間銀行と比べて新規開業者でも融資を受けやすいのが特徴です。

  • 無担保・無保証人で利用できる制度がある
  • 金利が民間金融機関より低めに設定されている
  • 事業計画書の内容が審査の重要ポイント
  • 2024年3月のリニューアルで自己資金要件が撤廃

融資申請には事業計画書が不可欠で、ターゲット顧客・売上見込み・収支計画を具体的に示す必要があります。商工会議所や税理士など専門家のサポートを受けながら、説得力のある計画書を作成しましょう。

補助金・助成金の活用方法

融資以外の資金調達手段として、国や自治体の補助金・助成金も活用できます。返済不要な資金が得られるため、要件に合うものは積極的に検討しましょう。

ただし補助金は原則として後払い・採択制のため、申請しても受給できない可能性があります。

補助金名補助上限額飲食店での活用例
小規模事業者持続化補助金50万〜250万円看板・HP制作・設備導入
デジタル化・AI導入補助金数十万〜350万円POSレジ・予約管理システム
中小企業省力化投資補助金数百万円規模配膳ロボット・セルフレジ
自治体の創業支援補助金自治体により異なる内装工事・設備導入

補助金は公募要領の細かい要件や申請スケジュールを正確に理解する必要があります。商工会議所や認定支援機関、行政書士などの専門家に相談しながら進めるのが安全です。

飲食店の開業費用を抑える5つのコツ

飲食店の開業費用を抑える5つのコツ

同じ規模・業態でも、工夫次第で開業費用は数百万円単位の差がつきます。「すべてを削る」のではなく、効果の大きいポイントに絞って取り組むことで、品質を維持しながらコストを下げることが可能です。

実際の現場で成果が出ている方法を紹介します。

居抜き物件を活用する

もっとも効果が大きいコスト削減策は、居抜き物件の活用です。前店舗の内装や厨房設備をそのまま使えれば、スケルトン物件と比べて初期費用を30〜50%抑えられます。同業態の居抜きであれば、改修費もほぼ最小限で済みます。

ただし居抜き物件には造作譲渡料が別途発生するケースがあり、既存設備の劣化が進んでいると改修費が想定外にかさむこともあります。契約前に専門業者と一緒に現地調査を行い、設備の状態と必要な改修範囲を見極めましょう。

厨房機器は中古・リースを使う

厨房機器は新品にこだわらず、中古品やリースを活用することで初期投資を大きく圧縮できます。業務用厨房機器は耐久性が高く、状態のよい中古品なら新品の30〜50%の価格で入手できます。

冷蔵庫・フライヤー・製氷機などの主要機器は中古市場が充実しており、信頼できる業者から仕入れれば100万円以上の節約も可能です。リース契約にすれば初期費用を月額に分散でき、キャッシュフローの負担も軽減されます。

相見積もりで工事会社を比較する

内装工事の見積もりは、最低でも3社から取得して比較するのが鉄則です。同じ工事内容でも業者によって30%以上の価格差が出ることは珍しくなく、相見積もりだけで数十万円〜数百万円のコスト削減につながります。

比較する際は金額だけでなく、見積書の明細が項目ごとに細かく記載されているか、追加費用の発生条件が明記されているかを確認しましょう。「一式」表記が多い見積書は、後から追加請求が発生するリスクが高いため避けるのが賢明です。

関西エリアで業者を探す場合は、以下の記事も参考にしてみてください。

補助金・助成金を組み合わせる

融資と組み合わせて補助金・助成金を活用することで、自己負担を大きく減らせます。前述の小規模事業者持続化補助金やデジタル化・AI導入補助金のほか、自治体独自の創業支援補助金も見逃せません。

自治体の補助金は要件が比較的緩やかで、内装工事費が対象になるケースもあります。開業予定地の市区町村や商工会議所に問い合わせて、利用できる制度を洗い出しましょう。複数の補助金を組み合わせれば、合計で数百万円の支援を受けられる可能性もあります。

コンセプトを明確にして優先順位をつける

コスト削減の大前提は、「どこにお金をかけて、どこを抑えるか」の優先順位を明確にすることです。コンセプトが曖昧なまま設計を進めると、打ち合わせで要望が膨らみ、結果的に予算オーバーにつながります。

ターゲット顧客・客単価・提供する価値を最初に固めたうえで、「客席エリアはこだわる」「バックヤードは機能性優先」といったメリハリを決めましょう。

方向性が定まれば、業者との打ち合わせもスムーズに進み、無駄な追加工事を防げます。

飲食店開業の流れと費用が発生するタイミング

飲食店開業の流れと費用が発生するタイミング

開業費用を計画的に管理するには、いつ・どんな費用が発生するかを事前に把握しておく必要があります。

資金が必要なタイミングを誤ると、融資の入金前に支払いが発生して資金繰りが破綻する事態になりかねません。準備から開業までの流れを整理しておきましょう。

事業計画書の作成と物件探し

開業準備の最初のステップは、事業計画書の作成と物件探しです。コンセプト・ターゲット・収支計画をまとめた事業計画書は、融資申請にも活用できる資金計画の土台となります。

  • 店舗コンセプトの言語化(業態・客層・客単価)
  • 立地候補と家賃相場の調査
  • 売上見込みと損益分岐点の試算
  • 必要な開業資金と調達計画の策定

物件探しは平行して進めますが、契約は資金調達の見込みが立ってから行うのが安全です。物件契約と同時に保証金・礼金などの初期費用が発生するため、融資の内定が出てから契約に進むのが基本的な流れです。

物件契約と内装工事の発注

物件契約後は、内装工事会社の選定と工事発注に入ります。物件契約から開業までは家賃が発生するため、スピーディーな工事スケジュールが資金繰りを左右します。

  • 3社程度から相見積もりを取得
  • 施工実績・見積もりの透明性を比較
  • 契約後は設計打ち合わせを並行で進める
  • 工期は通常2〜3ヶ月(設計1ヶ月+施工1〜2ヶ月)

内装工事の費用は、契約金・中間金・残金の3回に分けて支払うのが一般的です。資金が必要なタイミングを業者に確認し、融資の入金時期と調整しておきましょう。

許認可申請とオープン準備

飲食店を営業するには、保健所の飲食店営業許可と、消防署への防火対象物使用開始届などの提出が必要です。許認可がないとオープンできないため、工事の最終段階で並行して進めます。

必要な手続き申請先備考
飲食店営業許可保健所食品衛生責任者の設置が必須
防火対象物使用開始届消防署収容人員30名以上は防火管理者も
個人事業の開業届税務署開業日から1ヶ月以内
深夜酒類提供飲食店営業届警察署深夜0時以降に酒類提供する場合

オープン直前にはスタッフ採用や研修、メニューの最終調整、広告宣伝も必要です。オープン1〜2週間前にプレオープン期間を設けると、本番で慌てずに済みます。

飲食店の開業費用に関するよくある質問

飲食店の開業費用に関するよくある質問

開業相談で実際によく寄せられる質問を厳選し、Q&A形式で回答します。資金計画の細かい疑問を解消することで、開業準備の精度を高められます。

Q

飲食店は自己資金ゼロでも開業できますか?

A

制度上は自己資金ゼロでの開業も不可能ではありませんが、現実的にはかなりハードルが高いと言えます。

融資審査では自己資金の比率が重視されるため、最低でも開業費用の1〜2割程度は自己資金として用意しておくのが望ましいでしょう。少ない自己資金で開業する場合は、居抜き物件や小規模業態を選び、開業費用そのものを圧縮する工夫が必要です。

Q

100万円で飲食店を開業できますか?

A

100万円のみでの開業は非常に難しいのが現実です。物件取得費だけでも家賃の6〜10ヶ月分が必要で、内装・厨房設備・運転資金まで含めると最低でも300万〜500万円は見込んでおきたいところです。

ただし、シェアキッチンの活用や移動販売(キッチンカー)といった業態であれば、100万円〜300万円程度から始められる選択肢もあります。

Q

飲食店は何ヶ月で黒字になりますか?

A

業態や立地によって大きく異なりますが、開業から半年〜1年程度で安定して黒字化する店舗が多いとされています。

ただし開業直後は集客が安定しないことを前提に、最低でも6ヶ月分の運転資金を準備しておくことが重要です。固定費を低く抑え、損益分岐点を早めに下げる工夫も必要となります。

Q

10坪の小さな飲食店の開業費用はいくらですか?

A

10坪規模の小規模飲食店なら、500万〜1,000万円前後が目安です。居抜き物件で同業態の設備を流用できれば、300万〜500万円台での開業も可能です。

ただし焼肉店やラーメン店など設備が大規模な業態では、10坪でも700万円以上かかるケースがあります。

Q

開業費用に補助金は使えますか?

A

はい、活用できる補助金が複数あります。販路開拓向けの小規模事業者持続化補助金、POSレジや予約システム導入向けのデジタル化・AI導入補助金、自治体独自の創業支援補助金などが代表的です。

ただし補助金は採択制で後払いが原則のため、運転資金として当てにせず、あくまで自己負担を軽くする手段として位置づけましょう。

まとめ

飲食店の開業費用は、業態や規模、物件条件によって500万円〜2,000万円超と幅広く変動します。平均1,000万円前後を目安としつつ、自店の条件に合わせた現実的な資金計画を立てることが、開業成功への第一歩となります。

この記事のまとめ
  • 飲食店の開業費用は平均1,000万円前後・中央値600万円
  • 主な内訳は物件取得費・内外装工事費・厨房設備費・運転資金・諸経費
  • 自己資金は開業費用の3割が目安
  • 居抜き物件・中古機器・相見積もり・補助金で大幅にコストダウン可能
  • 運転資金は最低6ヶ月分を必ず確保する

とくに初めて開業される方は、居抜き物件の活用や相見積もりによる比較、補助金の検討など、本記事で紹介した方法を一つずつ実行してみてください。資金計画と並行して、業者選びでは飲食店の施工実績と見積もりの透明性を重視することで、完成後の満足度が大きく変わります。

長く愛されるお店づくりに向けて、しっかりとした準備を進めていきましょう。

【監修者】松岡 祐希

株式会社オールメイク代表。

兵庫県を中心に全国各地の美容室・サロン・飲食店・病院・オフィス・クリニックなど店舗の内装工事をしています。 自社でも運営してる美容サロンなどもあるので、配置含めて設計図のパズルは得意になります。