店舗パーテーションの種類7選|費用相場と選び方・消防法の注意点
「客席どうしの視線が気になる」「施術スペースだけをさりげなく仕切りたい」など、店舗のレイアウトに悩んでパーテーションの導入を検討している方は多いのではないでしょうか。
店舗パーテーションは、目的・高さ・素材の3点を軸に選ぶと失敗しにくくなります。ただし、天井まで仕切るタイプは消防署への届出が必要になるなど、設置前に知っておくべきルールもあります。
この記事では、店舗パーテーションの種類7つの特徴と費用相場、選び方のポイント、業種別の活用例、設置前の注意点までを店舗内装の視点からわかりやすく解説します。
目次
店舗パーテーションとは?役割と導入効果

パーテーションの導入を考える前に、店舗で果たす役割を整理しておきましょう。ここでは基本的な定義と、設置によって得られる5つの効果を解説します。
店舗パーテーションの基本的な定義
パーテーション(partition)は「仕切り」を意味し、店内を区画するための間仕切り全般を指す言葉です。壁を新しく造作するよりも工期が短く、レイアウト変更にも対応しやすい点が大きな特徴といえます。
オフィス用のパーテーションは機能性が優先されがちですが、店舗では来店客の目に必ず触れます。そのため、空間を仕切る機能と内装デザインの一部としての見た目を両立させることが重要です。床に置くだけの簡易的なものから、天井まで届く本格的なものまで種類は幅広く、店舗の業態や目的に合わせて選ぶ必要があります。
店舗に導入する5つの効果
店舗にパーテーションを設置すると、主に次の5つの効果が期待できます。
- 周囲の視線を遮るプライバシーの確保
- お客様とスタッフの動線の整理
- 待合・施術・客席などのゾーニング
- 話し声や物音の軽減
- 内装デザインのアクセント
たとえば飲食店ならテーブル席を半個室化して滞在満足度を高められますし、サロンなら施術中のお客様が人目を気にせず過ごせます。1つのパーテーションで複数の課題を解決できるのが、店舗で重宝される理由です。
店舗パーテーションの種類7選と特徴

店舗パーテーションは、設置方法と高さ、素材の組み合わせで性格が決まります。ここでは代表的な7種類の特徴と向いている店舗を整理します。
- 設置方法は「固定式・可動式・自立式」の3タイプ
- 天井まで届くかどうかで遮断性と必要な手続きが変わる
- 素材はガラス・木・金属・布が代表的
店舗でよく使われるパーテーションは、大きく次の7種類に分けられます。まずは全体像を比較表で確認しましょう。
| 種類 | 遮断性 | レイアウト変更 | 向いている店舗 |
|---|---|---|---|
| 固定式ハイパーテーション | 高い | しにくい | クリニック、個室サロン |
| ローパーテーション・腰壁 | 中程度 | しにくい | 飲食店、美容室 |
| 可動式パーテーション | 中〜高い | しやすい | 宴会場のある飲食店 |
| 自立式(置き型)パーテーション | 低い | とてもしやすい | 物販店、小規模店舗 |
| ガラスパーテーション | 中〜高い | しにくい | 歯科医院、カフェ |
| カーテン・暖簾・すだれ | 低い | しやすい | リラクゼーション、和食店 |
| 造作壁 | とても高い | しにくい | バー、個室中心の店舗 |
固定式ハイパーテーション
ハイパーテーションは、床から天井まで届く高さで壁のようにしっかり仕切るタイプです。アルミやスチールのパネルを床と天井に固定し、ドアを組み込むこともできます。視線と音をもっとも遮りやすいため、診察室やVIPルームなど完全な個室が必要な場面に向いています。一方で、天井まで仕切ると消防署への届出や消防設備の見直しが必要になる点には注意が必要です。
ローパーテーション・腰壁
ローパーテーションは高さ120〜160cm程度で、天井との間にすき間を残して空間をゆるやかに区切るタイプです。腰の高さほどの低い壁は「腰壁」と呼ばれます。座ったときの視線だけを遮れるため、開放感とプライベート感のバランスが取りやすいのが魅力。飲食店の客席の仕切りや、美容室のシャンプー台まわりによく採用されています。
可動式パーテーション
可動式パーテーションは、天井や床のレールに沿ってパネルをスライドさせ、必要なときだけ空間を仕切れるタイプです。「スライディングウォール」とも呼ばれます。少人数の個室と大人数の宴会席を1つのスペースで切り替えられるため、団体利用の多い居酒屋や宴会場に向いています。ただしレールの施工が必要で、ほかのタイプより初期費用は高めです。
自立式(置き型)パーテーション
自立式パーテーションは、脚やベースで自立させて床に置くだけのタイプです。工事が不要で、購入したその日から使える手軽さが最大のメリットといえます。木製・金属製・布張りなどデザインも豊富です。一方で、遮音性は期待しにくく、人がぶつかると倒れるおそれもあるため、通路沿いに置く場合は転倒防止の工夫をしておきましょう。
ガラスパーテーション
ガラスパーテーションは、光を通しながら空間を区切れるタイプです。照明や自然光をさえぎらないため、仕切っても店内が暗くなりにくく、閉塞感が出にくい点が強みです。透明ガラスのほか、すりガラスやフィルム貼りで目隠し度合いを調整できます。清潔感と高級感を演出しやすいため、歯科医院やおしゃれなカフェで人気があります。
カーテン・暖簾・すだれ
布や竹などのやわらかい素材で仕切る方法も、店舗では広く使われています。カーテンは開け閉めで仕切りの有無を切り替えられ、暖簾やすだれは和の雰囲気づくりに効果的です。低コストで圧迫感なく区切れる反面、遮音性はほとんどありません。リラクゼーションサロンのベッドまわりや、和食店の入口・個室の目隠しに向いています。
造作壁
造作壁は、軽量鉄骨や木材で下地を組み、石膏ボードを張ってクロスや塗装、タイルで仕上げる壁です。既製品のパーテーションではなく内装工事として一からつくるため、デザインの自由度と遮音性はもっとも高くなります。個室中心のバーやカラオケのように、音や雰囲気をしっかり分けたい店舗に適しています。ただし工期が長く、後からのレイアウト変更には撤去費用がかかります。
店舗パーテーションの費用相場

置くだけの自立式なら1枚数千円から、天井まで仕切る固定式は1m当たり数万円からが目安です。天井まで仕切る場合は、消防設備の移設費が別途かかることもあります。
種類別の費用相場の目安
店舗パーテーションの費用は、種類・素材・サイズ・設置する長さによって大きく変わります。代表的な種類ごとの目安は次のとおりです。
| 種類 | 費用の目安 | 工事の有無 |
|---|---|---|
| 自立式(置き型)パーテーション | 1枚5,000〜30,000円程度 | 不要 |
| カーテン・暖簾・すだれ | 本体数千〜数万円+レール取付費 | 簡易工事 |
| ローパーテーション(アルミ・スチール) | 1m当たり1万〜4万円程度 | 必要 |
| 固定式ハイパーテーション(アルミ・スチール) | 1m当たり2万〜6万円程度 | 必要 |
| ガラスパーテーション | 1m当たり5万〜10万円程度 | 必要 |
| 腰壁(造作) | 1m当たり3万〜8万円程度 | 必要 |
| 造作壁 | 1m当たり4万〜10万円程度 | 必要 |
| 可動式パーテーション | 1m当たり10万〜30万円程度 | 必要 |
上記はあくまで一般的な目安です。仕上げ材のグレードや現場の条件によって金額は前後するため、正確な費用は現地調査のうえで見積もりを取って確認しましょう。
工事費用の主な内訳
工事が必要なパーテーションの場合、本体価格以外にも次のような費用がかかります。見積書を見るときは、これらが含まれているかを確認してください。
- パネル・柱・ドアなどの材料費
- 職人が組み立てる施工費
- 資材の運搬・搬入費
- 感知器・照明・空調の移設や増設費
- 消防署への届出書類の作成費
- 夜間・休日工事の割増費や諸経費
なかでも見落としやすいのが既存設備の移設費です。天井まで仕切ると、区切られた空間ごとに感知器や照明が必要になるケースがあり、本体価格より設備工事の方が高くつくこともあります。
工事費用のシミュレーション例
具体的なイメージをつかむために、約10坪の店舗で、アルミのハイパーテーション(長さ約6m・ドア1ヶ所)を使って約2坪のスタッフ休憩室を仕切る場合の費用を試算しました。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| パーテーション本体・材料(約6m) | 12万〜24万円程度 |
| ドア(1ヶ所) | 3万〜8万円程度 |
| 施工費 | 3万〜6万円程度 |
| 運搬・搬入費 | 1万〜3万円程度 |
| 感知器・照明の移設や増設 | 3万〜10万円程度 |
| 消防署への届出書類の作成 | 1万〜3万円程度 |
| 諸経費 | 2万〜4万円程度 |
| 合計 | 25万〜58万円程度 |
同じ場所を天井との間にすき間を残すローパーテーションで仕切れば、感知器の移設や届出書類の費用がかからない場合が多く、合計から4万〜13万円ほど抑えられる計算です。なお、この試算はあくまで一例です。物件の天井の構造や夜間工事の有無によって金額は変わるため、実際の費用は見積もりで確認してください。
費用を抑える5つのコツ
パーテーションの費用は、選び方と依頼の仕方しだいで抑えられます。次の5点を意識しましょう。
- 天井まで仕切る必要があるかを見直す
- 工事不要な自立式やカーテンと組み合わせる
- 内装工事とまとめて依頼する
- 中古品やレンタルを活用する
- 複数社から相見積もりを取る
特に効果が大きいのは、ローパーテーションで十分な場所に天井高のものを使わないことです。天井との間にすき間を残せば、消防設備の移設や届出が不要になる場合が多く、費用と工期をまとめて削減できます。開業時やリニューアル時に内装工事と同時に施工すれば、職人の手配や養生を一度で済ませられる点もメリットです。
また、中古品やレンタルの活用も有効な手段です。オフィス家具の中古販売店では、アルミやスチールのパーテーションが新品より安く手に入ることがあります。ただし、必要な枚数や色がそろわない、部材が欠けているといったケースもあるため、購入前にサイズと付属品を必ず確認しましょう。催事期間や改装中だけ仕切りたい場合は、自立式パーテーションをレンタルすれば購入費をかけずに済みます。
失敗しない店舗パーテーションの選び方

種類と費用を把握したら、次は自店に合うものの絞り込みです。目的・高さ・素材・設備・メンテナンスの5つの視点から選び方を解説します。
- 何を遮りたいのか目的を決める
- 高さで開放感と遮断性を調整する
- 素材と色を内装コンセプトに合わせる
- 動線・空調・照明への影響を確認する
- 清掃とメンテナンスのしやすさを考える
導入目的をはっきりさせる
最初に決めるべきなのは、パーテーションで何を遮りたいのかです。視線だけを遮りたいのか、話し声まで防ぎたいのか、それとも空間を用途ごとに分けたいのかによって、最適な種類はまったく異なります。
たとえば、カウンセリングの会話を聞かれたくないクリニックなら遮音性の高いハイパーテーションや造作壁が候補になります。一方、客席の視線を少し遮りたいだけの飲食店であれば、ローパーテーションや格子で十分です。目的があいまいなまま選ぶと、過剰なスペックで費用がかさむ失敗につながります。
高さで開放感と遮断性を調整する
パーテーションは高くなるほど遮断性が上がる一方、圧迫感も強くなります。高さごとの特徴を押さえておきましょう。
| 高さの目安 | 遮れるもの | 主な用途 |
|---|---|---|
| 90〜120cm程度 | 座ったときの手元・足元 | カウンター、テーブル席の区切り |
| 140〜160cm程度 | 座ったときの視線 | 半個室、施術席、待合スペース |
| 180cm以上 | 立ったときの視線 | バックヤードの目隠し、更衣スペース |
| 天井まで | 視線と音の大部分 | 個室、診察室、VIPルーム |
座席を仕切る場合は、着席したお客様の目線より少し高い位置を基準にすると、立っているスタッフからは店内を見渡しやすく、お客様は落ち着いて過ごせるバランスになります。
素材と色を内装コンセプトに合わせる
パーテーションは面積が大きいため、素材と色の選び方で店内の印象が大きく変わります。主な素材の特徴は次のとおりです。
| 素材 | 与える印象 | 向いている業種 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ガラス | 清潔感、開放感 | クリニック、カフェ | 指紋や汚れが目立ちやすい |
| 木材 | 温かみ、ナチュラル | カフェ、和食店、サロン | 湿気や傷に弱い |
| 金属 | モダン、インダストリアル | バー、アパレル | 冷たい印象になりやすい |
| 布 | やわらかさ、軽やかさ | リラクゼーション、エステ | 防炎性能の確認が必要 |
床・壁・家具の色味とそろえると、パーテーションが後付けに見えず、空間全体に統一感が生まれます。
動線・空調・照明への影響を確認する
パーテーションを置く位置によっては、通路が狭くなったり、エアコンの風や照明の光が届かなくなったりします。設置前に、お客様とスタッフの動線が交差しないか、空調と照明が仕切った先まで届くかを図面上で確認しておきましょう。配膳や車いすの通行を考えると、主要な通路は90cm以上の幅を確保するのが安心です。客席配置の考え方はカフェのレイアウトの決め方でも詳しく紹介しています。
清掃とメンテナンスのしやすさで選ぶ
店舗のパーテーションは毎日お客様の目に触れるため、清潔な状態を保てるかどうかも大切な判断基準です。ガラスは指紋がつきやすく、木材は水拭きでシミになることがあります。布製は汚れを吸いやすいため、取り外して洗えるか、交換しやすいかを確認しておくと安心です。飲食店では油煙がつきやすいため、拭き取りやすい表面加工のものを選びましょう。
業種別に見るパーテーション活用例

同じパーテーションでも、業種によって求められる役割は異なります。自店のお客様が何を求めているかから逆算して種類を選ぶのがコツです。
飲食店は客席の半個室化に活用
飲食店では、テーブル席を半個室にして滞在満足度を高める使い方が定番です。腰壁や格子状のローパーテーションで席どうしを区切れば、開放感を残しながら隣の視線を気にせず食事を楽しめます。宴会需要がある店舗なら、可動式パーテーションで個室と大部屋を切り替えると客席の稼働率を上げやすくなります。焼肉店など火気を使う店舗では、燃えにくい素材を選ぶことも忘れないでください。
美容室・サロンは施術席を仕切る
美容室やネイル・エステサロンでは、施術中のお客様がリラックスできるようプライベート感を演出することが重要です。セット面の間にすりガラスのパーテーションを入れたり、シャンプー台を腰壁で囲ったりすると、店内を広く見せつつ人目を気にしない空間をつくれます。改装時のポイントは美容室リフォームの費用相場と注意点もあわせて参考にしてください。
クリニック・整体院は声と視線を遮る
クリニックや整体院では、症状や悩みを話す場面が多いため、視線に加えて会話の声を遮る配慮が欠かせません。カウンセリングスペースや診察室は天井までのハイパーテーションや造作壁で仕切り、施術ベッドの間はカーテンで区切るなど、場所ごとに使い分けるのが効果的です。整体院の内装づくりについては整体院の内装8つのポイントで詳しく解説しています。
物販店は売場の区切りと陳列を兼ねる
物販店では、パーテーションを売場の区切りとディスプレイ什器を兼ねるアイテムとして活用できます。有孔ボードやシェルフ付きのパーテーションなら、商品カテゴリーごとにゾーンを分けながら陳列面積も増やせます。季節ごとに売場を組み替えたい店舗では、移動しやすい自立式を選ぶとレイアウト変更が簡単です。
おしゃれに見せるデザインのコツ

パーテーションは、仕切るだけでなく空間の見せ場にもなります。照明や素材の組み合わせで印象を高める5つの手法を紹介します。
- 照明と組み合わせて陰影をつくる
- 格子やスリットで抜け感を出す
- 紐カーテンで軽やかに仕切る
- グリーンや棚を組み込む
- ロゴやガラス加工でブランドを表現する
照明と組み合わせて陰影をつくる
パーテーションを間接照明で照らすと、素材の質感が際立ち、ぐっと雰囲気のある空間になります。格子やすりガラスの裏側に照明を仕込めば、光がやわらかく透けて奥行きのある演出が可能です。照明の当て方の詳しいテクニックは間接照明で飲食店の雰囲気を高める手法で紹介しています。
格子やスリットで抜け感を出す
面で完全にふさぐのではなく、木製の格子やスリットの入ったパネルを使うと、仕切りながらも向こう側の気配が感じられる軽やかな空間になります。和モダンの店舗なら組子細工、カフェならナチュラルな木格子、バーならアイアンの格子など、コンセプトに合わせてデザインを変えられるのも魅力です。狭い店舗でも圧迫感が出にくいため、小規模店におすすめの手法です。
紐カーテンで軽やかに仕切る
細い紐を何本も垂らした紐カーテン(ストリングカーテン)は、視線をやわらかく遮りながら、光や空気を通す仕切りです。人が手でかき分けて通れるため、客席の入口やカウンター奥の目隠しにも使えます。色や素材の種類が多く、ナチュラルからモダンまで幅広い店舗コンセプトに合わせられるのも魅力です。
さらに、白い紐カーテンをスクリーン代わりにしてプロジェクションマッピングの映像を映す演出もあります。バーやイベント性の高い店舗では、仕切りそのものを空間の見せ場にできる方法です。布製品と同様に、防炎ラベルの付いた製品を選びましょう。
グリーンや棚を組み込む
パーテーションにフェイクグリーンを絡めたり、プランターを組み込んだりすると、仕切りが自然なインテリアとして空間になじみます。また、棚付きのパーテーションに商品や雑貨を飾れば、仕切りそのものが見せ場になります。カフェで物販コーナーを設けたい場合にも有効な方法です。
ロゴやガラス加工でブランドを表現
ガラスやアクリルのパーテーションには、サンドブラストやカッティングシートで店舗ロゴや模様を入れられます。目隠しの役割を果たしながらブランドイメージを自然に印象づけられるため、SNSで撮影される機会が多い店舗にも効果的です。暖簾やすだれに屋号を入れるのも、和食店ならではの演出として人気があります。
設置前に確認すべき法律と注意点

パーテーションは手軽に見えて、設置の仕方によっては消防法や賃貸契約に関わります。工事前に確認しておくべき4つの項目を押さえましょう。
- 天井まで仕切る場合は消防署への届出が必要
- 感知器やスプリンクラーとの距離を確保する
- カーテンなど布製品は防炎物品を選ぶ
- 賃貸物件は貸主の承諾と原状回復を確認する
天井まで仕切るなら消防署へ届出
天井まで届くパーテーションを設置すると、そのスペースは新しい「部屋」として扱われ、感知器などの消防設備の基準が変わります。そのため、多くの自治体では火災予防条例に基づき、着工前に管轄の消防署へ「防火対象物工事等計画届出書」を提出しなければなりません。
一方、天井に達しないローパーテーションのみを設置する場合は、届出が不要とされています。提出期限や必要書類は自治体によって異なる場合があるため、施工業者や消防署に事前に確認しておきましょう。届出は着工の7日前までが目安で、平面図や断面図などの図面を添付する必要があります。
感知器・スプリンクラーとの距離
天井に設置された煙感知器やスプリンクラーのすぐ横にパーテーションを立てると、煙を正しく感知できなかったり、散水が妨げられたりするおそれがあります。
パーテーションの位置によっては感知器の移設や増設が必要になり、その費用は工事費に上乗せされます。図面の段階で天井設備の位置を確認し、できるだけ既存設備を活かせる配置を検討することが大切です。一般的に、煙感知器は間仕切りから60cm以上、熱感知器は40cm以上離す必要があるとされています。
布製の仕切りは防炎物品を選ぶ
飲食店や物販店、サロンなど不特定多数の人が出入りする店舗では、消防法によりカーテンや布製ブラインド、じゅうたんなどに防炎性能を持つ「防炎物品」の使用が義務付けられています。カーテンや布張りパーテーションで客席や施術スペースを仕切る場合は、防炎ラベルが付いた製品を選んでください。アクリル板などの樹脂素材も燃えやすいため、火気を使う場所の近くに置かないよう注意が必要です。
賃貸物件は貸主の承諾と原状回復
テナント物件で床や天井に固定するパーテーションを設置する場合は、事前に貸主や管理会社の承諾が必要です。商業施設やビルによっては、指定業者での施工や夜間工事が条件になることもあります。また、退去時には原状回復として撤去を求められるのが一般的なため、撤去費用も見込んで計画しておきましょう。後から変更しやすい自立式や可動式を選ぶのも1つの方法です。
店舗パーテーションのよくある質問

店舗パーテーションの導入を検討している方から寄せられることの多い質問をまとめました。
Q
店舗のパーテーションは自分で設置できますか?
A
床に置くだけの自立式パーテーションであれば、ご自身で設置できます。一方、床や天井に固定するハイパーテーションやローパーテーションは、強度の確保に加え、消防署への届出や消防設備への対応が必要なため、専門業者への依頼をおすすめします。
Q
パーテーションと間仕切り壁の違いは何ですか?
A
パーテーションは既製のパネルを組み立てて設置するもので、比較的短期間で施工でき、移設や撤去もしやすいのが特徴です。間仕切り壁は下地を組んでボードを張る造作工事でつくるため、遮音性やデザインの自由度は高いものの、工期と費用がかかります。
Q
パーテーションの代わりになるものはありますか?
A
カーテンや暖簾、すだれ、背の高い棚、大型の観葉植物なども仕切りの代わりになります。工事が不要で費用を抑えられるため、ゆるやかに空間を分けたい場合に適しています。ただし、遮音性はほとんど期待できない点に注意してください。
Q
パーテーションで防音対策はできますか?
A
天井まで届くタイプなら話し声をある程度軽減できますが、完全な防音は難しいのが実情です。しっかり音を遮りたい場合は、吸音材や遮音シートを組み込んだパーテーションや造作壁を検討しましょう。天井との間にすき間があるローパーテーションは、音を遮る効果が限定的です。
Q
パーテーション工事にはどれくらいの期間がかかりますか?
A
規模にもよりますが、既製品のパーテーションであれば施工自体は1〜2日程度で終わるケースが多いです。造作壁の場合は仕上げを含めて数日から1週間程度かかります。天井まで仕切る場合は消防署への届出期間も必要になるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
まとめ:目的に合う店舗パーテーションを選ぼう

店舗パーテーションは、固定式・可動式・自立式など種類によって遮断性や費用、レイアウト変更のしやすさが大きく異なります。まずは「何を遮りたいのか」という目的を明確にし、必要以上に高い仕様を選ばないことが、費用を抑えながら満足度の高い空間をつくる近道です。
- 店舗パーテーションは目的・高さ・素材の3点で選ぶ
- 費用は自立式の1枚数千円から可動式の1m数十万円まで幅広い
- 天井まで仕切る場合は消防署への届出と設備の確認が必要
- 照明や格子を組み合わせると、おしゃれな空間を演出できる
また、天井まで仕切る場合の消防法への対応や、賃貸物件での承諾・原状回復など、設置前に確認すべきルールも少なくありません。内装全体のデザインとあわせて計画すれば、パーテーションが空間になじみ、お客様にとって居心地のよい店舗に仕上がります。実際の店舗づくりのイメージは、オールメイクの施工事例もぜひ参考にしてください。