Blog
2026.10.26
10:06

バーカウンターの高さは100〜110cm|椅子・寸法の目安

「バーカウンターの高さは何cmにすればいいのか」「椅子や足置きはどう合わせるのか」と迷っていませんか。カウンターは一度造作すると簡単に作り直せないため、開業前に寸法の根拠をつかんでおくことが大切です。

結論からお伝えすると、バーで一般的なハイカウンターの高さは100〜110cmが目安です。椅子の座面はカウンターより25〜30cm低くし、足置きを組み合わせると長く座っても疲れにくくなります。

この記事では、ロー・ミドル・ハイの3タイプの高さとメリット・デメリット、椅子と足置きの決め方、幅や奥行きなど高さ以外の寸法、形状との組み合わせ、よくある失敗と対策までを順に解説します。

バーカウンターの高さの目安は3種類

カウンターの高さは、大きくハイ・ミドル・ローの3タイプに分けられます。高さによって椅子の座面高、足の着き方、スタッフとお客様の目線の関係が変わるため、店の雰囲気や滞在時間に直結します。まずは3タイプの違いを一覧で確認しましょう。

ポイント
  • ハイカウンター:高さ100〜110cm前後
  • ミドルカウンター:高さ85〜95cm前後
  • ローカウンター:高さ70cm前後
タイプカウンター高さ椅子の座面高座ったときの足向いている業態
ハイカウンター100〜110cm70〜80cm床につかないオーセンティックバー、ショットバー、立ち飲み
ミドルカウンター85〜95cm55〜65cmつま先が床につく程度ダイニングバー、バル、カジュアルな飲食店
ローカウンター70cm前後40〜45cmかかとまで床につくホテルのバー、小料理屋、割烹

上記はいずれも、カウンター内と客席の床の高さが同じ(フラット)場合の目安です。床に段差をつける設計では数値が変わるため、図面段階で設計者と確認しておきましょう。

ハイカウンターは100〜110cm前後

バーで最も多く採用されるのが、高さ100〜110cm前後のハイカウンターで、105cm前後がひとつの基準です。座ったお客様の目線と、立って接客するバーテンダーの目線がほぼ同じ高さにそろうため、会話が自然に生まれ、見下ろされる圧迫感もありません。

一方で、椅子の座面が70〜80cmと高くなり、足は床につきません。足置き(フットレスト)を設けることが前提の高さと考えておきましょう。立ち飲みにも対応しやすく、限られた面積で席数を確保したい店舗にも向いています。

ミドルカウンターは85〜95cm前後

ミドルカウンターは、家庭のキッチン台とほぼ同じ85〜95cm前後の高さです。ハイカウンターより座りやすく、ローカウンターより目線が近いため、カジュアルさと落ち着きのバランスを取りたいダイニングバーやバルに適しています。

注意したいのは、座面高55〜65cmに対応する椅子の種類が比較的少ない点です。デザインにこだわる場合は、カウンターの設計と並行して椅子を探すか、オーダーメイドも視野に入れましょう。

ローカウンターは70cm前後

ローカウンターは、ダイニングテーブルと同じ70cm前後の高さです。椅子の座面は40〜45cmほどで、かかとまでしっかり床につくため、年齢や体格を問わず長時間でも疲れにくいのが最大の利点です。

ただし、床がフラットなままだと、立って作業するスタッフがお客様を見下ろす形になります。ホテルのバーなどでは、カウンター内の床を一段下げて目線をそろえる工夫がよく見られます。

車椅子のお客様の利用も想定するなら、一部の席を低めにして膝が入る空間を残しておくと安心です。自治体のバリアフリー基準では、受付カウンターについて高さ70〜75cm、下部に高さ65cm以上・奥行き45cm以上の空間を確保する例が示されています。
参考:鳥取県 受付カウンターの整備基準(PDF)

高さタイプ別のメリット・デメリット

3タイプにはそれぞれ長所と短所があります。「どのタイプが正解か」ではなく、自店の営業スタイルに合うのはどれかという視点で比べてみましょう。

タイプメリットデメリット
ハイスタッフと目線がそろい会話しやすい
カウンター内の手元が見えにくい
立ち飲みにも使え、間口の狭い店でも配置しやすい
足が床につかず長居には向きにくい
高齢のお客様には座りにくい
ミドル座りやすさと目線の近さを両立できる
カジュアルで親しみやすい雰囲気を出しやすい
対応する椅子の種類が少ない
ロー長時間でも疲れにくく客単価を上げやすい
年齢や体格を問わず座りやすい
スタッフが見下ろす形になりやすい
目線をそろえるには床の段差が必要

椅子の高さは差尺25〜30cmで決める

カウンターの高さが決まったら、次は椅子と足置きです。座面高は「カウンターの高さ−25〜30cm」が目安で、お客様の座り心地はこの高低差で決まります。ここでは差尺の考え方と、高さ別の早見表、足置きの位置を解説します。

差尺とはカウンターと座面の高低差

差尺(さしゃく)とは、テーブルやカウンターの天板の高さと、椅子の座面の高さの差のことです。飲食店のカウンターでは25〜30cmがひとつの目安とされます。

差尺が小さすぎると膝や太ももが天板の下に当たり、窮屈に感じます。反対に大きすぎると、グラスやお皿が胸の高さに近づき、肩が上がって疲れやすくなります。カウンターの高さだけを決めて椅子を後から選ぶと、差尺が合わない失敗が起こりやすいため、必ずセットで考えましょう。

カウンター高さ別の座面高早見表

差尺25〜30cmを基準にすると、カウンターの高さごとの座面高は次のとおりです。椅子を選ぶ際の目安にしてください。

カウンターの高さ椅子の座面高の目安主な椅子の種類
70cm40〜45cmダイニングチェア
85cm55〜60cmカウンターチェア(低め)
90〜95cm60〜65cmカウンターチェア
100cm70〜75cmバースツール
105cm75〜80cmバースツール
110cm80〜85cmバースツール(高め)

市販のバースツールは座面高70〜80cm前後の製品が中心です。高さ110cmのカウンターでは座面80cm以上が必要になり、選べる製品が少し限られます。座面高を調整できる昇降式のスツールを選ぶと、体格の違うお客様にも合わせやすくなります。なお、「カウンターチェア」「バースツール」の呼び分けに明確な規格はないため、商品名ではなく座面高の数値で選ぶのが確実です。

足置き(フットレスト)の高さの目安

足が床につかないハイカウンターやミドルカウンターでは、足置きが座り心地を大きく左右します。足が宙に浮いたままだと太ももの裏が圧迫され、長く座るほど疲れが溜まるためです。

足置きは、座面から40〜45cmほど下に足裏が乗る位置が目安です。足置きの設け方には、主に次の2つがあります。

  • 椅子側の足掛けリング・横桟を使う方法
  • カウンターの腰壁に金属パイプのフットレストを取り付ける方法

カウンター側に設けると椅子のデザインに左右されず、立ち飲みのお客様も足を掛けられます。どちらの場合も、試作した椅子に実際に座って高さを確かめると失敗を防げます。

高さ以外に決めておきたい寸法

居心地のよいバーカウンターは、高さだけでは完成しません。席の幅、天板の奥行き、椅子の後ろの通路幅がそろって、初めて快適な客席になります。ここでは高さとあわせて決めておきたい3つの寸法を紹介します。

ポイント
  • 1席あたりの幅は60cmが基準
  • 客側の天板の奥行きは45cmが基準
  • 椅子の背後には人が通れる通路を確保

1席あたりの幅は60cmが基準

カウンター席の1席あたりの幅は、60cmを基準に考えるのが一般的です。隣のお客様と肘が触れにくく、多くの人が窮屈さを感じにくい寸法とされています。

1席あたりの幅印象向いている店舗
45〜50cm肩が触れ合う距離感立ち飲み、回転率重視の店
60cm標準的で窮屈さが少ないショットバー、ダイニングバー
70〜75cmゆとりと高級感があるオーセンティックバー、ホテルのバー

カウンター全体の長さは「1席あたりの幅×席数」で求めます。たとえば60cm幅で6席なら、全長は360cmが必要です。

天板の奥行きは客側45cmが基準

お客様側の天板の奥行きは、45cm前後を基準にしましょう。グラスと小皿、おしぼりやコースターを並べても手元に余裕が生まれます。料理を出すダイニングバーなら、提供するお皿を実際に並べて必要な奥行きを測るのが確実です。

一方、ドリンク中心のショットバーや立ち飲みでは、グラスとおつまみが置ければ十分なため、35〜40cm程度に抑えて席数や通路を優先する考え方もあります。

なお、奥行きが広すぎるとバーテンダーとの距離が遠くなり、会話やドリンクの受け渡しがしにくくなります。スタッフ側の作業スペースまで含めた全体の奥行きは、60〜90cm程度が一般的です。

椅子の背後の通路幅も確保する

見落としがちなのが、座っているお客様の背後の通路です。ハイスツールは座面が高く、座ったお客様の背中が通路側にせり出します。カウンターの前端から壁までが狭いと、トイレへ向かう人やスタッフが通るたびにお客様が椅子を引く必要が出てきます。

椅子の背後を人がすれ違わずに通るなら、カウンター前端から壁まで110〜120cm程度あると安心です。席数を優先して通路を削りすぎないよう、レイアウトの初期段階で確認しておきましょう。

カウンターの形状と高さの組み合わせ

同じ高さのカウンターでも、I字・L字・コの字といった形状によってお客様とスタッフの向き合い方が変わります。代表的な3つの形状と、高さを決めるときの注意点を整理しました。

形状特徴向いているバー高さを決めるときの注意
I字型直線で省スペース、動線がシンプルショットバー、小規模なバー全席がスタッフと正対するため、目線をそろえる効果が大きい
L字型角の席で斜めに向き合え会話しやすいカップル客の多いバー、調理を見せるダイニングバーコーナー部は足元が窮屈になりやすく、椅子の間隔を広めにとる
コの字型スタッフが中央に立ち全席に目が届く常連が集まる立ち飲み、大衆酒場客同士が向かい合うため、高さとあわせて対面の距離も確認する

形状が複雑になるほど造作の手間が増え、費用も上がります。形状ごとの費用の違いは飲食店のカウンター費用の相場で解説しています。

バーカウンターの高さを決める4つの視点

3タイプのどれを選ぶかは、「一般的にバーだからハイカウンター」と決めるのではなく、自店の営業スタイルから逆算することが大切です。高さを決めるときに押さえておきたい4つの視点を解説します。

ポイント
  • 店舗コンセプトと想定する滞在時間
  • スタッフとお客様の目線の高さ
  • バーテンダー側の作業台の高さ
  • 厨房と客席の床の高低差

店舗コンセプトと滞在時間から考える

高さ選びの出発点は、お客様にどのくらいの時間を過ごしてほしいかです。長く滞在して客単価を上げたい店は低め、回転率を重視する店は高めが基本の考え方になります。

  • ゆったり過ごす大人のバー:ロー〜ミドル、または足置き付きのハイ
  • 会話を楽しむショットバー:ハイ
  • 短時間で回転させる立ち飲み:ハイ(立ったまま使える高さ)

照明や素材と同じく、カウンターの高さも店の世界観をつくる要素のひとつです。空間全体の雰囲気づくりは間接照明で飲食店の雰囲気を高める手法もあわせて参考にしてください。

スタッフと客の目線をそろえる

バーはスタッフとの会話も商品の一部です。そのため、座ったお客様と立って接客するスタッフの目線の高さを意識して高さを決めましょう。

ハイカウンターでは、座面70〜80cmに座ったお客様の目線が、立っているスタッフの目線とほぼ同じ高さになります。ローカウンターで床がフラットだと見下ろす形になるため、カウンター内の床を20〜30cmほど下げるなど、床の段差で目線を調整する方法があります。

バーテンダー側の作業台の高さも考える

お客様側の高さだけでなく、カウンター内でお酒をつくる作業台の高さも重要です。立ち作業がしやすい作業台は、一般的に80〜90cm前後とされています。

そのため多くのバーでは、客側の天板を100〜110cmと高くし、内側の作業台を一段低くした2段構成のカウンターを採用しています。作業中の手元やシンクがお客様から見えにくくなり、スタッフの負担も抑えられるのが利点です。

床の高低差は断面図で確認する

カウンターの見え方は、天板の高さだけでなく厨房と客席の床の高さでも変わります。平面図だけでは分からないため、断面図で目線と座面の関係を確かめましょう。床の高さを調整する主なパターンは次のとおりです。

  • 厨房側の床を下げる:ローカウンターでも目線をそろえやすいが、建物の構造によっては難しい
  • 客席側の床を上げる:小上がりのように仕上げられる反面、天井が近く感じやすい
  • 厨房側の床が上がる:グリストラップや排水管を床下に通すと、カウンターも高くする必要が出る

居抜き物件では前店舗の段差がそのまま残っていることも多いため、物件の契約前に現地で床の高さを実測しておくことをおすすめします。

バーカウンターの高さでよくある失敗

カウンターは完成後に高さを変えると、天板や腰壁の作り直しが必要になり、費用と工期がかさみます。失敗の多くは、カウンターと椅子・足置き・天板下の空間を別々に決めたことが原因です。開業後に後悔しやすい代表的な失敗と、その対策を確認しておきましょう。

合う椅子が見つからない

よくあるのが、カウンター完成後に「イメージどおりの椅子が、この高さに合う座面で見つからない」というケースです。特にミドルカウンターや、高さ110cmを超えるカウンターで起こりやすい失敗といえます。

対策は、カウンターの設計と同時に椅子の候補を決めておくことです。椅子の座面高からカウンターの高さを逆算する方法も有効です。

膝が天板の下に当たる

差尺が25〜30cmでも、天板が厚い場合や、天板の下に幕板・引き出しを付けた場合は膝まわりの空間が狭くなります。座った瞬間に太ももが当たると、お客様は浅く腰掛けるしかなくなり、居心地が大きく下がります。

客席側の天板下には、膝が入るすっきりした空間を残すことが基本です。天板の厚みも含めて、座面から天板下面までの寸法を図面で確認しましょう。

長く座ると足が疲れる

ハイカウンターで足置きを設けなかったり、位置が合っていなかったりすると、お客様の足が宙に浮いたままになります。滞在時間が短くなり、2杯目・3杯目の注文につながりにくくなるおそれがあります。

足置きはカウンター側か椅子側のどちらかで必ず用意し、背もたれ付きのスツールを選ぶのも効果的です。カウンターの造作費用の目安は飲食店のカウンター費用の相場で詳しく解説しています。

バーカウンターの高さに関するよくある質問

バーカウンターの高さについて、開業準備中のオーナーや自宅にカウンターを検討している方からよく寄せられる質問をまとめました。迷ったときは「カウンター100cm+座面70〜75cm+足置き」の組み合わせが、バーの基本形として取り入れやすい寸法です。

Q

高さ110cmのバーカウンターには、どのくらいの高さの椅子が合いますか?

A

差尺25〜30cmを基準にすると、座面高80〜85cmの椅子が目安です。市販のバースツールは座面70〜80cm前後が中心のため、座面高を調整できる昇降式や、高めのモデルを選ぶと合わせやすくなります。足置きもあわせて設けましょう。

Q

立ち飲み用のカウンターの高さはどのくらいですか?

A

立ったまま肘をついたりグラスを置いたりしやすい、100〜110cm前後が一般的です。ハイカウンターと同じ高さにしておけば、スツールを置いて座り席としても使えます。足を掛けられるフットレストがあると、立ち姿勢でも疲れにくくなります。

Q

自宅にバーカウンターを作る場合、高さはどう決めればいいですか?

A

キッチンに付ける場合は、キッチン台(一般的に80〜95cm)と同じ高さにするか、一段高い100cm前後にして手元を隠す方法も選べます。リビングに独立して置く場合は、使う椅子の座面高に差尺25〜30cmを足して決めると失敗しにくくなります。

Q

カウンターの高さは身長に合わせるべきですか?

A

不特定多数のお客様が使う店舗では、特定の身長ではなく一般的な成人の体格を基準に決め、座面を調整できる椅子や足置きで個人差を吸収するのが現実的です。自宅のカウンターなら、主に使う人の身長に合わせて数cm単位で調整してもかまいません。

Q

居抜き物件の既存カウンターの高さは変えられますか?

A

腰壁のかさ上げや天板の交換で調整できる場合もありますが、給排水や電源の位置によっては作り直したほうが安く済むこともあります。高さを変えたい場合は、物件の契約前に施工会社へ現地を確認してもらうと判断しやすいでしょう。

まとめ

バーカウンターの高さは、ハイ・ミドル・ローのどれを選ぶかで店の雰囲気もお客様の滞在時間も変わります。大切なのは、カウンター単体ではなく、椅子・足置き・幅や奥行きまで含めてひとつの客席として設計することです。

この記事のまとめ
  • バーで一般的なハイカウンターの高さは100〜110cm前後
  • 椅子の座面はカウンターより25〜30cm低くする
  • 足が床につかない高さでは足置きを必ず設ける
  • 幅60cm・奥行き45cm前後・背後の通路もあわせて確保する
  • 高さはコンセプト・目線・作業台・床の高低差の4つの視点で決める

カウンターは開業後に作り直しにくい設備だからこそ、図面が固まる前に実際の座り心地を確かめておきましょう。内装全体の予算感はバーの内装費用と坪単価の相場もあわせてご覧ください。コンセプトに合った高さを早い段階で決めておくことが、居心地のよいバーをつくる近道です。

【監修者】松岡 祐希

株式会社オールメイク代表。

兵庫県を中心に全国各地の美容室・サロン・飲食店・病院・オフィス・クリニックなど店舗の内装工事をしています。 自社でも運営してる美容サロンなどもあるので、配置含めて設計図のパズルは得意になります。